射精の超複雑なメカニズム 精液と尿が混ざらないワケ
普段何気なくしている射精。でも、射精の仕組みってご存じですか?
尿と精液が混ざらないことを不思議に思ったことはありませんか?
射精の仕組みは、実はとても複雑なのです。
射精の仕組みを理解すれば、早漏や遅漏など、射精でトラブルった際も冷静に対処できるかもしれません。
それでは人体の神秘、射精のメカニズムを見ていきましょう。
この記事の監修
(立ションしようとしながら)う~ん、射精後っておしっこが出にくいんだよなー。考えたことなかったけど、これって何でなんだろう?そもそも俺の体って、何で尿と精液が混ざらないで出し分けられてるんだろう?
良い所に気が付いたでござるな!
わッ!ペ二丸!びっくりするからおしっこ中に出てくるなよ!
鍵が開いてたもんで、すまんすまん。でもいつも何も考えずに射精しているしょうた殿に、射精の仕組みを教える良い機会だと思ってな。
射精の仕組みって意外と複雑で、でも知ってるとトラブった時に冷静に対応できるし、何より自分の体を知ることは大切なことでござるぞ。
ふーん、そこまで言うなら解説してもらおうかな。
射精とは
そもそも射精とは、主に性的興奮と刺激によって、オスがオーガズムに達した際に、ペニス(生殖器)から精液が放出される現象です。
精液は、精巣由来の精子、精嚢由来の精嚢液、前立腺由来の前立腺液で構成されます。
射精中は、この精液が1秒前後の間隔で「ビクンビクン」と、数回に分かれて放出されます。
実は複雑!射精に関わる11の器官
射精の仕組みを説明する前に、射精に関わる体の器官を紹介します。
射精に関わる主な器官
-
精巣
日常的に精子を生成する -
精巣上体
生成された精子を貯蔵する -
精管
射精が近づくと精子がここを通って移動する -
尿道球腺(カウパー腺)
いわゆる“がまん汁”を分泌する -
精管膨大部
射精前に精子はここで待機する -
精嚢
精液の7割を構成する精嚢液を分泌する -
前立腺
精液を構成する前立腺液を分泌する -
尿道前立腺部
射精の第一段階(後述)で精液が一時的に貯まる -
内尿道括約筋
排尿をコントロールする筋肉で、射精時は収縮する -
外尿道括約筋
排尿をコントロールする筋肉で、射精時は弛緩する -
尿道
精液が通り、体外に射精される
ほえ~、こんなにたくさん。理科赤点の俺には覚えられないや。
大丈夫大丈夫、これらの働きを次は射精の流れで説明するから、それで覚えてくれ。
射精までの流れ 射精には二つの段階がある
射精を理解するうえでの最重要ポイントは、射精には主に二つの段階があるということです。
-
第一段階:エミッション(Emission)
精液が尿道前立腺部に放出される -
第二段階:イジャキュレーション(Ejaculation)
エミッション後の精液が尿道を通り体外に放出される
このポイントを押さえたうえで、射精の流れを見ていきましょう。
1. 快感の高まり
まず、性的興奮や快感の高まりによって、勃起が起こります。
勃起と並行して、尿道球腺よりカウパー液(別名:がまん汁)が分泌されます。
平常時、尿道内は弱酸性ですが、カウパー液はアルカリ性なので中和されます。これには、酸性に弱い精子を保護する働きがあると考えられています。
2. 精子の移動
さらに快感や興奮が高まると、精巣上体に蓄えらえれていた精子が、精管を通って精管膨大部に移動します。
3. オーガズム
性的興奮・快感が頂点に達すると「オーガズム」を迎えます。いわゆる「イク」という現象です。
オーガズムの一連の流れの中に、後述のエミッション(Emission)とイジャクレーション(Ejaculation)が含まれます。
オーガズムは「反射」と呼ばれる意識的にコントロールすることができない現象なので、オーガズムに達したらもう後戻りはできず、射精の完了まで自動的に進行します。
ちなみに、オーガズムの前までは、男性の自律神経は副交感神経が優位(リラックスしている状態)ですが、オーガズムでは交感神経が優位(緊張している状態)に変化します。
4. 精液の前立腺への放出(エミッション:Emission)
オーガズムに達するのと同時に、精管膨大部の精子、及び精嚢内の精嚢液が、尿道前立腺部に放出されます。
また、このとき前立腺自体からも前立腺液が尿道前立腺部に放出され、この3つが混ざって精液となります。
これがエミッション(Emission)と呼ばれる現象です。
このタイミングでは、膀胱と前立腺の間(内尿道括約筋)と、前立腺と尿道の間(外尿道括約筋)は閉じているので、放出された精液によって前立腺の内圧が高まり、これが射精直前のムズムズとした感覚を生みます。
5. 精液の体外への射出(イジャキュレーション:Ejaculation)
エミッション後、外尿道括約筋が弛緩することで、前立腺内の精液が尿道を通じて体外に放出されます。
この現象がイジャキュレーション(Ejaculation)です。
イジャキュレーション(Ejaculation)中、外尿道括約筋は収縮と弛緩を繰り返します。この収縮と弛緩に合わせて、精液は数回に分かれて放出されます。
6. 射精の終了と無反応期(賢者タイム)
射精が完了すると、急速に性的興奮が減退し、無反応期(いわゆる賢者タイム)に突入します。
これは射精後に血中濃度が増加する、プロラクチンと呼ばれるホルモンの作用だと考えられています。
なぜ精液と尿は混ざらないのか
結局、精液と尿が混ざらないのは、前立腺が分岐点になって、射精時には膀胱の出口を閉じてくれてるから、ってこと?
その通り!理解が早いな、しょうた殿。ちなみに、この膀胱の出口を閉じる機能が正常に働かないと、精液が膀胱に逆流する「逆行性射精」が起こるのでござる。
なぜ射精後は排尿しにくいのか
もう一個聞いていい?射精後おしっこが出にくいのは何で?
それは自律神経というやつの働きじゃな。自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があって、射精時には交感神経の働きが必要で、逆に排尿時には副交感神経の働きが必要なのでござる。
この神経の切り替えはスグにはできなくて、これが射精後スグに排尿できない理由なのだ。
ふーん、じゃあ射精後スグにおしっこが出ないのは普通ってことか。
射精のメカニズムは複雑で繊細
以上、射精のメカニズムでした。
射精がかなり複雑な仕組みの現象だということが、ご理解いただけたのではないでしょうか。
この複雑さ故に、ちょっとした不調や緊張で、早漏や遅漏、更には逆行性射精などの射精トラブルが起こります。
末永く良い射精を続けたい男性は、ぜひ日々の体調管理に気を付けてください。
射精って複雑なんだね。俺の体の中にも、こんな仕組みがあるなんて不思議な気分だよ。
そうだなしょうた殿。でも射精って生物が種を保存していくために、数億年かけて作られた仕組みだ。そう思うと、拙者人体の神秘を感じるでござるよ。
ペ二丸の体にも神秘を感じるけどね。よし!もう一発、神秘を感じるとしますか!
排尿か、射精か、どちらでも良いでござるが、部屋もトイレも鍵は閉めておくでござるぞー!
この記事を書いた人
牛場 栄之 TENGAヘルスケア社員(編集長)
大学・大学院では神経科学を専攻、おとなセイシルでは性科学や性機能学、生理学の分野を主に担当。2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当。
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(オナニーして、)ふー、今日も気持ちよかったぜ。おっとトイレトイレっと。