梅毒の症状や予防法、妊娠中の感染リスク 社会的課題にも
2015年以降、国内の梅毒感染者数が急増しています。
特に、若年層や妊娠中の女性が感染した場合、健康への影響が大きく懸念されており、社会的にも課題となっています。
この記事では、梅毒の症状やリスク、予防法について解説します。
また、妊娠中の梅毒感染が母体と胎児に与える影響についても触れていきます。
梅毒について正しい知識を持ち、自分自身と大切な人を守りましょう。
注)「ちつ」の解剖学的に正しい表記は「腟」ですが、この記事では一般的な表記である「膣」を使用します。
この記事の監修
モヤピン天才だからわかっちゃう。花魁がいた時のセックスの病気でしょ?だいすけが江戸時代にいたら、絶対に感染してたね。急にどうして?
初っ端のセリフからディスってくるなよ。江戸時代にタイムスリップする漫画で梅毒が出てきたんだ。でも今は薬もできたし完治するらしいぜ。余裕だな!
フフフフ…。若造、そのような浅はかな考えでは後悔することになるぞ。オイラが何者か、分かっているのか?ハハハハ!
うわぁ!だいすけ、何かいるよ!敵だ!怖い!逃げろー!
いつも助けてくれる性の妖精…、じゃなさそう!なんだこいつ!モヤピン、俺を置いていくなよ!
曲者か!臆するな!出会え出会え!適切な知識で立ち向かうのでござる!敵の言う通り、慢心は痛い目に遭うが、怖がる必要はないぞ!
あぁぁ!ペ二丸様ぁぁぁ…!
梅毒は江戸時代に日本に伝わった性感染症
梅毒を無闇に恐れるべからず。まずは敵のことを知るでござる。モヤピン、セイ星でもらった『性感染症スカウター』を今こそ使うべし!
お!やっと使う時が来た!埃だらけだ。えーっと・・・ピコン!
スカウター情報
梅毒とは、梅毒トレポネーマという細菌が引き起こす性感染症の一つです。主に性的な接触(膣性交、肛門性交、口腔性交など)を通じて広がります。
母子感染も報告されており、妊娠中に母親から胎児に感染することもあります。
初期症状は感染部位に痛みのないしこりが現れることが多く、放置するとしこりや発疹が全身に広がり、重大な健康被害を引き起こす可能性があります。
早期発見と適切な治療が重要で、ペニシリンなどの抗生物質が有効です。
梅毒は15世紀末にヨーロッパで初めて大流行し、以後世界中に広まりました。
16世紀には日本にも伝わり、江戸時代には「花柳病」として知られるようになりました。
ペニシリンが1940年代に発見されるまで、梅毒は治療が困難で多くの命を奪いました。
そうそう!ペニシリン!これでもう大丈夫なんだろ。焦って損した〜。
モヤピン!このスカウター、アップデートしていないでござるな!
基本情報と歴史だけで、現代の梅毒についての情報が出てこないでござる…。やむを得ん、拙者が最新情報を伝えるぞ!
梅毒が再流行中!若年層に忍び寄る感染
現在、梅毒は世界的に再び増加傾向にあります。
特に東京都や大阪府などの都市部において、若年層など性的に活発な世代で感染が広がっており、全国各地でも同様の傾向が見られます。
2023年に全国で報告された梅毒感染者数は15,078件で、過去20年間で最も高い数値となり、3年連続で過去最高を更新しています。
参考:国立感染症研究所
この背景には、インターネットやアプリを通じた出会いの増加が影響していると考えられています。
以前よりも簡単にセックスの相手を探すことが可能になり、これが感染の機会を増加させていると予想されます。
マッチングアプリの達人、だいすけには驚愕の情報だね。
不特定多数との性的接触が増えることで、感染リスクが高まっていくのでござる。
ぐさぐさ刺さるんだけど。確かに、アプリで出会った相手が性感染症に感染してるかどうかなんて、気にせずセックスしちゃってたよ…。
匿名性の高いアプリの出会いだからこそ、注意したい点の1つでござる。
さらに、症状についても知っておく必要があるぞ!
梅毒の症状を4つのステージごとに解説
梅毒は、感染の進行に伴い症状が変化します。
1期から4期までのステージがあり、各段階で異なる症状が現れます。
1期(3週間〜):初期梅毒
初期梅毒は感染から約3週間後に発症し、主な症状は痛みのないしこりや潰瘍*です。
*潰瘍(かいよう):皮膚がただれて陥没したような傷
これらは、性器や口、肛門など、感染が起こった部位に発生し、通常は数週間で自然に消失します。
しかし、しこりや潰瘍が消えても梅毒の細菌は体内に残り、適切な治療が行われなければ、病気は次のステージに進行します。
2期(3ヶ月〜):二次梅毒
二次梅毒は、感染から約3ヶ月後に現れ、全身に広がる発疹が特徴です。
この発疹は、手のひらや足の裏など、一般的な発疹とは異なる部位に現れることがあります。
また、発熱、喉の痛み、倦怠感、リンパ節の腫れなど、インフルエンザのような全身症状が現れることもあります。
これらの症状は数週間から数カ月続くことがあり、放置すると再び消えることもあります。
しかし初期梅毒と同様、治療が行われない限り細菌は体内に潜伏し、さらに進行するリスクがあります。
3期(3年〜):潜伏梅毒
潜伏梅毒とは、二次梅毒の症状が一時的に消えた後、病気が体内で潜伏する段階です。
症状が再発することもありますが、無症状の期間が数年から数十年続くことが多いです。
細菌は依然として体内に存在し、他者に感染させる可能性があります。
3期は多くの場合で無症状ですが、一部の人には「ゴム腫」と呼ばれる腫瘍が皮膚や臓器など、全身に現れ組織を徐々に破壊します。
4期(10年〜):後期梅毒
後期梅毒は、潜伏期間を経て、約10年から数十年後に発症し、深刻な健康被害を引き起こします。
心臓、血管、脳、神経系、骨など、複数の臓器に重大な障害が現れることがあり、これにより麻痺、失明、認知症、さらには死に至るケースもあります。
後期梅毒は治療が非常に困難で、1〜3期のうちに診断と治療が行われなければ、長期的な後遺症が残ることが多いです。
この段階に進行する前に、早期の治療が強く推奨されます。
消えたと思ったら現れ、現れたと思ったら消えるなんて忍者みたいだね。
だからあいつ忍者っぽかったのか。
でもそんなの知らなかったら、初期の時点で症状に気づけても、なくなったら治ったと思って病院行かねーよ…。
それがこの梅毒の恐ろしさ。感染していることに気づかないから治療が遅れるのだぞ。だからこそ知識が人を救うのでござる!
てか、後遺症とかもあるのかよ!
でも、ペニシリンで治るんだよな…?
詳しい梅毒の治療方法と注意点も紹介するでござる!
治療中のセックスはNG
梅毒の治療は、ペニシリン系の抗生物質による薬物療法が一般的です。
特に第1期および第2期で診断されれば、比較的短期間で治療が可能です。
進行して第3期以降でも治療は可能ですが、長期間の薬物療法が必要になる場合があります。
治療中は医師の指示に従い、規定の期間中はセックスを控えることが求められます。
また、梅毒は一度治療しても免疫が残らないため、再感染のリスクがあります。
そのため、治療が終了しても定期的な検査が重要です。
また、感染発覚時にパートナーがいる場合は、パートナーも検査を受けることが推奨されます。
早期発見・早期治療の大切さがわかったよ…。って、セックス禁止だって!?
当然のこと!完治せずに他者に感染する機会を与えるなんて、言語道断!
抗生物質による治療が開始されてから少なくとも2週間、または医師が感染のリスクがなくなったと判断するまで性行為は厳禁!
2週間以上も我慢するなんて俺には耐えられない…。
絶対に感染しないぞ!感染しないためにはどうすればいい!?
もちろん性感染症の予防には、アレでござる!
予防にはコンドームと定期的な検査を
梅毒の予防には、コンドームの使用と定期的な検査が欠かせません。
しかし、コンドームは性感染症を防ぐ効果がありますが、感染を完全に防ぐわけではありません。
また、梅毒は症状がなくても進行することがあるため、早期発見と治療が重要です。
各自治体の保健所では無料・匿名で検査を受けられるため、費用やプライバシーの心配なく気軽に検査が可能です。
定期的な検査を受けることで、感染の有無を早期に確認し、必要に応じて適切な治療を受けることができます。
もちろん、性器や口の中にしこりができたり、手のひらや足の裏にブツブツが現れたりする場合、痛みやかゆみがなくても早めに医療機関を受診しましょう。
あれれ?スカウターでよく見れば、何か梅毒が喋ってるよ。耳を澄ましてみよ。
クククク…、お前たち、コンドームさえあればオイラから身を守れると思っているのか?
確かにコンドームはオイラの天敵だ。でも、コンドームで覆っていない部分の皮膚などから感染することもある。オイラは強いんだ〜!
こやつのいう通り、例えば性器から口、または口から性器へと感染が広がることもあるでござる。
ってことはフェラやクンニも!?どうすればいいんだよ…。
膣性交の時だけでなく、オーラルセックスやアナルセックス時もコンドームをつけるでござる!
クンニリングスにはラテックス製のシートであるデンタルダムを使用することで、直接的な接触を防ぎ、感染リスクを低減できるぞ。
あとは、不特定多数の人とセックスしないことでござるな。
でも感染するのは、セックスだけじゃないんだよね?
そのとおり。母子感染についても知っておくべし!
妊婦の梅毒感染と母子感染リスク
妊婦が梅毒に感染すると、母子感染のリスクが生じます。梅毒は主に胎盤を通じて胎児に感染します。
母子感染すると、胎児は先天梅毒にかかり、発育障害や内臓の異常、さらには死産や早産のリスクが高まります。
母体が治療を受けない場合、40%の胎児が死産または新生児期に死亡します*¹
妊娠中に梅毒が確認された場合、早期治療で母体の健康を守り、胎児への感染を防ぐことができます。
梅毒の感染率が高い10,20代では特に、妊婦は梅毒検査を受け、予防に努めることが大切です。
参考:GME医学検査研究所
未来の俺の愛する人たちを守るためにも、絶対に梅毒にはならないぞ!コンドームは必ずつける!そして不特定多数の人とのセックスは控える…よ…!
最後が自信なさげだが、良い心がけでござる!
くそぉ、こいつには近づけなさそうだな…。でも隙があればいつでも忍び込むぞ。フハハハハハ。
梅毒は早期発見と治療が重要
現代でも梅毒の流行は問題となっています。
症状は4つのステージに分かれて現れ、早期発見と治療が欠かせません。
梅毒の予防と検査、早期対応を心がけることで、自分と周囲の人の健康を守りましょう。
【参照/参考】
*1 梅毒合併妊婦に対する治療と先天梅毒の現状, 国立感染症研究所
この記事を書いた人
福田 眞央 TENGAヘルスケア社員
保健体育科教員として勤めた後に大学院に入り、ジェンダー学・性教育を専攻。2021年からTENGAヘルスケアに携わり、10代向け性教育WEBメディア「セイシル」を担当。
この人の記事一覧記事をシェアする
なぁなぁ、梅毒って昔の病気だよな?