障がい者の性について相談できる場所の例
障がい×性のリアル 身体障がいがある方の恋愛・性生活の実態
今日の日本の社会では「障がいのある人は性に関心がない」「恋愛をしないもの」といった認識を持っている方は少なくありません。
しかし、これは大きな誤解です。
TENGAの調査では、「死ぬまでにセックスを経験したい」「恋愛をしたいが不安がある」といった切実な声が多く見られました。
恋愛や性に対する関心や欲求は、障がいの有無に関わらず、誰もが持つ自然なものです。
今回は、障がいのある方の恋愛や性の実態をデータと共に紹介しながら、現状の課題について考えていきます。
【調査概要】
障がい×性・恋愛に関する調査
・調査主体:株式会社TENGA
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:身体障がいのある354人
・調査期間:2022/10/25(火)~2022/11/6(日)
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない場合があります。


どうしたのモヤピン?いつになく熱さを感じるよ。

うおおお~!性の妖精として、どんな人のお悩みも解決できるようになりたいんだ~~~!

おお、珍しくやる気まんまんだね。

モヤピンはいつだってやる気だよ!さあニジー、今日は何から勉強する⁉

いつもその姿勢だといいんだけどなぁ…。じゃあ、今日は「身体障がいがある人の性」について見ていこうか

!! モヤピンがんばる!
障がいの種類について
まず、日本の法律では、障がいの種類は以下の3つに区分されます。
障がいの種類
-
身体障がい
-
知的障がい
-
発達障がい
法律に基づき、 それぞれ「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の交付を受け 、各種の福祉サービスを受給することができます。
障がい者の概数は、身体障がい者(身体障がい児を含む)436万人、精神障がい者419万 3千人、知的障がい者(知的障がい児を含む)109 万4千人となり、国民のおよそ7.6%に何らかの障がいがあるとわかります。*¹

障がいで感じる悩みや不便さは、人それぞれ
「障がい」と一口に言っても、その種類や、当人の置かれている環境や、抱える悩みや不満はさまざまです。

…………(ぷしゅ~)

えーっと、具体的にどういうことですか?

モヤピン、これまでの説明でショートしてない??障がいの種類によって悩みや不便さは全く変わってくるんだ。具体的な例を紹介するね。
階段に対する不便さの違い
肢体不自由で、車椅子を使っている人
→階段を一人で降りることが物理的に難しい
重度の知的障がいがある人
→階段を物理的に降りることはできても、その階段が降りていい安全な階段かわからない
視覚障がいがある人
→階段を降りることはできるが、そこに階段があるか視認できない
コロナ禍によって発生した不便さの違い
視覚障がいがある人
→人との接触を回避するために導入されたセルフレジの操作をすることが難しい
聴覚障がいがある人
→マスクによって口元の動きや表情が見えづらくなったためにコミュニケーションが難しくなった
知的・発達障がいがある人
→感覚過敏やこだわりによりマスクの着用や手洗いをすることが難しい
免疫障がいを含む内部障がいがある人
→もともと感染症に弱いため、普段以上に外出に制約が出てしまった

こんな感じで、障がいの種類によって困っていることが全く異なるんだよ。

人によってこんなに困りごとが違うんだね!モヤピン全然知らなかったよ…。

そう、解決策も必要なことも全然違うんだよ。それは性の悩みでも同じなんだ。
いよいよ次は、「身体障がいがある人の性」について紹介するよ。
身体障がいとは?
身体障がいとは、 先天的あるいは後天的な理由(病気や事故の後遺症など)で 、 体の一部に障がいが生じている状態のことをいいます 。身体障がいの区分は、 「 身体障害者福祉法 」 に基づき 、 それぞれ等級が 1~7 級まで定められています。*²
7級の障がいは 、 単独では 「身体障害者手帳 」 の交付対象にはなりませんが 、 7級の障がいが 2 つ以上重なる場合には 、「 身体障害者手帳」の交付を受けられます。
「身体障害者手帳」の交付対象は、「身体障害者福祉法別表」に掲げる身体上の障がいが一時的ではなく、永続することとされています。
身体障がい者の恋愛・性を取り巻く現状
身体障がい者の恋愛・性について、彼らを取り巻く状況は、どのようなものなのでしょうか。
「障がい者は性欲がない」という誤解
現在の日本では、「身体障がい者は、性欲がない」と思われることは少なくありません。
この誤解の背景には、「障がい=病気の状態」と認識されがちな点が影響していると考えられます。
「病気」つまり「療養中」の状態と無意識に捉え、療養中の人には性欲はない、性行為とは結びつかない、と考えてしまうようです。
療養中の方を見て、「今はそんな気分ではないだろう」と感じることは自然なことかもしれません。
しかし、障がいと病気は異なるものです。

実際にTENGAの調査では、こんな声が見られたよ!
当事者の声

死ぬまでにセックスしてみたい。

障がい者(身体不自由)は性行為をしない、出来ないという認識の方が多く、驚かれる。

障がい者は聖人のように扱われることもあって、性がタブーなイメージで話される
また、障がいのある方が性について語ると、「意外」「そんなことを考えているのか」と驚かれることも少なくないのが、現状です。
こうした反応が「性について話しづらい空気」を生み出し、結果的に「障がい者は性に関心がない」という誤解を助長しているのかもしれません。
性の悩みを相談する場がない
また、「性の相談ができる人がいるか」は、男女ともに「いない」が最多となりました。
特に女性は、「友人に恋愛の相談をする」と答えた方は7割でしたが、性の相談では4割を下回る結果になっています。
「性の話を相談できる場所が欲しいか」という設問では、約7割が「欲しい」と回答しました。

また、「性の話をして何か変わったことはありますか?」という質問には66%の人が「気持ちが楽になった」と回答し、8割以上の人がポジティブな回答をしていました。

性の相談ってしにくいのに、「障がい者の人は性欲がない」って思われているような状況だもんね。きっとみんな、なおさら相談しづらいんだろうな…。

もっとフラットに性の悩みを打ち明けられる場所が増えれば、気持ちが楽になる人も多そうだよね。
恋愛におけるハードル
次に、障がいがある方の恋愛には、どのようなハードルがあるのでしょうか。
TENGAの調査によると、「障がいを理由に恋愛がうまくいかなかった経験がある」と回答した方は31.1%にのぼりました。
また、恋愛の悩みの例として、「デートに行くにもバリアフリーか否かなど気をつかう」「恋愛はしたいが、自分のことが相手に負担になるんじゃないかと躊躇する」などの自由回答がありました。
また、「好きな人にどうアプローチしてよいかわからない」(30.2%) という悩みも上位に挙がっています。
これは健常者にも存在する悩みですが、障がいのある方の場合、「迷惑をかけてしまうかもしれない」という思いから、さらに慎重になる傾向があるようです。
ほか、恋愛のお悩みの例
- 機能的にも見た目にも自分の体にコンプレックスがあり、恋愛に積極的になれない。
- 両親が過剰に男性と繋がりがあることを嫌い、スカートも履けないような過干渉なので困っています。
友人とは普通に話しています。せめて、好きな人とハグくらいは自由にしたいです。
- 家族からは初めての彼氏ができたときに嫌な顔をされた。

他にも、「恋愛をしようとすると家族から嫌がられる」というお悩みも少なくないみたいだよ。

どうして⁉大好きな人と一緒にいられるのって素敵なことじゃないの⁉

家族の立場から見たら、望まない妊娠をしてしまうのではないか 、 相手を妊娠させてしまうのではないか 、 子どもが生まれたら自分で育てられるのか、その分家族に負担がかかるのではないか、と 色んな心配事が浮かんでしまう人も少なくないんだ。

ううう…難しい問題だ…。

でも、その人の恋愛や結婚をする権利を奪うことはできないからね。
障がいの有無に関係なく、その人の恋愛や性について悩んでいることに寄り添って、コミュニケーションをとるのが、大切なことだと思うよ。
身体障がい者のセックスやセルフプレジャーの実態
次に、身体障がいがある方のセックス・セルフプレジャーの実態について、調査結果を紹介します。


身体障がいがある方のセックス経験率は、男女全体で63.0%でした。
マスターベーション経験率も6割を超えており、このデータからも、「障がいがあるから性に関心がない」という考えが誤解であることがわかります。
身体障がいがある方の性のお悩み
-
自分の性欲を持て余している(26.3%)
-
性的な行為がうまくできない(触れない、快感を感じられないなど)(25.0%)
-
性的快感を感じられない(25.0%)
身体障がいがある方が性を楽しめるようになるためには

うーん、思ったよりもずっと知らないことが多かったよ…。
モヤピンも何か力になりたい!身体障がいがある人が性を楽しめるようになるためには、どう社会が変わっていけばいいのかな?

そうだね、次に紹介することをぜひ覚えておいてほしいな
1.障がい者の性に関する誤解の払拭
今の日本では、「障がい者には性欲がない」などの誤解や、障がい者が恋愛・性を楽しむことへの忌避感が根強く存在します。
その偏見が、当事者の悩みをより深くする可能性があります。
恋愛や性を楽しみたいという気持ちは、障がいの有無にかかわらず存在しうるものです。
こうした認識が広まっていくことで、障がい者の性への偏見が減り、当事者の悩みの解決に繋がります。
2.性の相談ができる環境づくり
「障がいのある方の性」について、安心して話せる場が必要です。
障がいのある方の多くが、「性について誰かに相談したい」と感じている一方、実際には「相談できる相手がいない」方が多い現状です。
(障がいの有無にかかわらず)あなたがもし誰かから相談された時は、先入観や偏見に囚われないで、まずはその人自身に寄り添って話を聞くことから始めてみてください。
3.アイテムやサポート方法の開発
身体障がいがある方は体の制約があるため、補助用のアイテムや方法の開発なども求められます。
当事者の声

体位を保てるクッションがあると助かる

シーツを汚さないマットがあれば安心

プレジャーアイテムを麻痺の手で握るのが難しいため、固定バンドが欲しい
また、当事者の内「性介助の経験がある」と回答したのは、全体の4.8%でした。
家族や介助者であっても、性のことは中々頼みづらいもの。
その人に合ったサポート方法を考えることも併せて必要です。

ちなみにTENGAでは、身体障がいがある人のために「TENGAカフ」という補助アイテムを作っているんだよ。


なにこれ⁉TENGAにベルトが付いてる!

上の輪っかに手を通すと、手の動きに制限がある人でも、握らずにTENGAを使うことができるんだ。作業療法士の協力のもとで制作しているんだよ。

すごい!こういうアイテムが色々あれば、お悩み解決のヒントになりそうだね。
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すべての人が恋愛や性を自由に楽しめる社会へ
恋愛や性に対する気持ちは、障がいの有無にかかわらず誰にでもあるものです。
しかし、その気持ちに寄り添う環境や情報、周囲の人のサポートは、まだ十分に整っているとは言えません。
障がい者の性は、健常者と比較して、語りづらさが根強く存在しています。
この状況を変えていくためには、一人ひとりの認識の変化が重要です。

ニジー、ありがとう!まだまだ難しい問題がいっぱいあるけど、聞けてよかったよ!

こちらこそ聞いてくれてありがとう!すぐには難しいかもしれないけど、この課題を認識している人が少しずつ広がれば、絶対に社会は変わるはずだよ!がんばれ、モヤピン!

うおお、がんばるぞ~~~!(メラメラ)

モヤピン、ちょっとずつ成長してきたね…!ホロリ
この記事を書いた人

原田 樹 TENGA社員
大学では幼児教育を専攻。保育士を経た後、広告代理店に転職。タブー視されている性の話題について深く掘り下げたいと感じ、2022年にTENGAに入社。現在はTENGAヘルスケアのブランド・製品・サービスのPRを担当。
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(メラメラ)