障がい×性のリアル 身体障がいがある方の恋愛・性生活の実態

2025-05-20

 今日の日本の社会では「障がいのある人は性に関心がない」「恋愛をしないもの」といった認識を持っている方は少なくありません。

 しかし、これは大きな誤解です。

 TENGAの調査では、「死ぬまでにセックスを経験したい」「恋愛をしたいが不安がある」といった切実な声が多く見られました。

 恋愛や性に対する関心や欲求は、障がいの有無に関わらず、誰もが持つ自然なものです。

 今回は、障がいのある方の恋愛や性の実態をデータと共に紹介しながら、現状の課題について考えていきます。

【調査概要】
障がい×性・恋愛に関する調査
・調査主体:株式会社TENGA
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:身体障がいのある354人
・調査期間:2022/10/25(火)~2022/11/6(日)
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない場合があります。

登場人物アコーディオン
  • モヤピン

    モヤピン

    性のモヤモヤから生まれた妖精で、セイ星から地球へ派遣されたが、知識面ではあまり頼りにならない。性知識に富んだ仲間を頼って、人間と一緒に学んでいる。

  • ニジー

    ニジー

    多様性、LGBRQに詳しい妖精。派手な見た目だが真面目。

    障がいの種類について

     まず、日本の法律では、障がいの種類は以下の3つに区分されます。

     法律に基づき、 それぞれ「身体障害者手帳」「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」の交付を受け 、各種の福祉サービスを受給することができます。

     障がい者の概数は、身体障がい者(身体障がい児を含む)436万人、精神障がい者419万 3千人、知的障がい者(知的障がい児を含む)109 万4千人となり、国民のおよそ7.6%に何らかの障がいがあるとわかります。*¹

    年齢断層別障害者数の推移のグラフ

    障がいで感じる悩みや不便さは、人それぞれ

     「障がい」と一口に言っても、その種類や、当人の置かれている環境や、抱える悩みや不満はさまざまです。

    階段に対する不便さの違い

    肢体不自由で、車椅子を使っている人
    →階段を一人で降りることが物理的に難しい

    重度の知的障がいがある人
    →階段を物理的に降りることはできても、その階段が降りていい安全な階段かわからない

    視覚障がいがある人
    →階段を降りることはできるが、そこに階段があるか視認できない

    コロナ禍によって発生した不便さの違い

    視覚障がいがある人
    →人との接触を回避するために導入されたセルフレジの操作をすることが難しい

    聴覚障がいがある人
    →マスクによって口元の動きや表情が見えづらくなったためにコミュニケーションが難しくなった

    知的・発達障がいがある人
    →感覚過敏やこだわりによりマスクの着用や手洗いをすることが難しい

    免疫障がいを含む内部障がいがある人
    →もともと感染症に弱いため、普段以上に外出に制約が出てしまった

    身体障がい者の恋愛・性を取り巻く現状

     身体障がい者の恋愛・性について、彼らを取り巻く状況は、どのようなものなのでしょうか。

    「障がい者は性欲がない」という誤解

     現在の日本では、「身体障がい者は、性欲がない」と思われることは少なくありません。

     この誤解の背景には、「障がい=病気の状態」と認識されがちな点が影響していると考えられます。

     「病気」つまり「療養中」の状態と無意識に捉え、療養中の人には性欲はない、性行為とは結びつかない、と考えてしまうようです。

     療養中の方を見て、「今はそんな気分ではないだろう」と感じることは自然なことかもしれません。

     しかし、障がいと病気は異なるものです。

     当事者の声

     また、障がいのある方が性について語ると、「意外」「そんなことを考えているのか」と驚かれることも少なくないのが、現状です。


     こうした反応が「性について話しづらい空気」を生み出し、結果的に「障がい者は性に関心がない」という誤解を助長しているのかもしれません。

    性の悩みを相談する場がない

     また、「性の相談ができる人がいるか」は、男女ともに「いない」が最多となりました。

     特に女性は、「友人に恋愛の相談をする」と答えた方は7割でしたが、性の相談では4割を下回る結果になっています。

     「性の話を相談できる場所が欲しいか」という設問では、約7割が「欲しい」と回答しました。

    性の話を相談できる場所が欲しいかの円グラフ

     また、「性の話をして何か変わったことはありますか?」という質問には66%の人が「気持ちが楽になった」と回答し、8割以上の人がポジティブな回答をしていました。

    恋愛におけるハードル

     次に、障がいがある方の恋愛には、どのようなハードルがあるのでしょうか。

     TENGAの調査によると、「障がいを理由に恋愛がうまくいかなかった経験がある」と回答した方は31.1%にのぼりました。

     また、恋愛の悩みの例として、「デートに行くにもバリアフリーか否かなど気をつかう」「恋愛はしたいが、自分のことが相手に負担になるんじゃないかと躊躇する」などの自由回答がありました。

     また、「好きな人にどうアプローチしてよいかわからない」(30.2%) という悩みも上位に挙がっています。

     これは健常者にも存在する悩みですが、障がいのある方の場合、「迷惑をかけてしまうかもしれない」という思いから、さらに慎重になる傾向があるようです。

    身体障がい者のセックスやセルフプレジャーの実態

     次に、身体障がいがある方のセックス・セルフプレジャーの実態について、調査結果を紹介します。

    身体障がいがある方のセックス経験の男女別円グラフ 身体障がいがある方のマスターベーションの経験の男女別円グラフ

     身体障がいがある方のセックス経験率は、男女全体で63.0%でした。

     マスターベーション経験率も6割を超えており、このデータからも、「障がいがあるから性に関心がない」という考えが誤解であることがわかります。

    身体障がいがある方が性を楽しめるようになるためには

    1.障がい者の性に関する誤解の払拭

     今の日本では、「障がい者には性欲がない」などの誤解や、障がい者が恋愛・性を楽しむことへの忌避感が根強く存在します。

     その偏見が、当事者の悩みをより深くする可能性があります。

     恋愛や性を楽しみたいという気持ちは、障がいの有無にかかわらず存在しうるものです。

     こうした認識が広まっていくことで、障がい者の性への偏見が減り、当事者の悩みの解決に繋がります。

    2.性の相談ができる環境づくり

     「障がいのある方の性」について、安心して話せる場が必要です。

     障がいのある方の多くが、「性について誰かに相談したい」と感じている一方、実際には「相談できる相手がいない」方が多い現状です。

     (障がいの有無にかかわらず)あなたがもし誰かから相談された時は、先入観や偏見に囚われないで、まずはその人自身に寄り添って話を聞くことから始めてみてください。

    3.アイテムやサポート方法の開発

     身体障がいがある方は体の制約があるため、補助用のアイテムや方法の開発なども求められます。

    当事者の声

     また、当事者の内「性介助の経験がある」と回答したのは、全体の4.8%でした。

     家族や介助者であっても、性のことは中々頼みづらいもの。

     その人に合ったサポート方法を考えることも併せて必要です。

    すべての人が恋愛や性を自由に楽しめる社会へ

     恋愛や性に対する気持ちは、障がいの有無にかかわらず誰にでもあるものです。

     しかし、その気持ちに寄り添う環境や情報、周囲の人のサポートは、まだ十分に整っているとは言えません。

     障がい者の性は、健常者と比較して、語りづらさが根強く存在しています。

     この状況を変えていくためには、一人ひとりの認識の変化が重要です。

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