女性のアナルは気持ちいい？ 肛門が性感帯になる秘密

　ヒトの性感帯はさまざまあり、男性の中には、肛門から5cm程度のところにある「前立腺」を刺激してオーガズムを得られる方もいます。

　しかし、「前立腺」が存在しない女性でもアナルが気持ち良いと感じる方はいます。

　では、なぜアナルで快感を得られるのでしょうか。

　今回は体験談も交えながら、アナルの快感の謎を紐解いていきます。

この記事の監修

丹羽 咲江 医師

咲江レディスクリニック院長

日本専門医機構産婦人科専門医
日本産婦人科学会産婦人科専門医
日本性感染症学会会員
愛知県産婦人科医会経営委員
愛知県性教育協会会員
NPO:PROUD LIFE監事
愛知・思春期研究会共同代表
日本性科学会幹事
日本性科学会認定セックスセラピスト
一般社団法人パートナーシップ推進協会理事
避妊教育ネットワーク会員

性交痛外来での経験を活かし、できることに誠心誠意込めて頑張ります。

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この間のセックスの時にさ、しょうたが間違えてアナルに入れてこようとしたんだよね！急いで止めたんだけど、実際、アナルセックスって気持ちいいのかな…？モヤピン何か知ってる？

え、アナ!?某有名航空会社のこと？

（だめだこりゃ…）
ちがうちがう、アナル、つまり肛門のことだよ。

あ、肛門のアナルね～。うーん、学校で習ったっけ？思い出せない。

モヤピン、アナルについては先生が教えてくれてたよ！

そうだったっけ…？
モヤピンその日お休みしてなかった？

忘れたんだね。しょうがないから、一緒におさらいしていこう。

女性のアナルセックス経験率は？

　まずはじめに、アナルセックスの経験率はどの程度なのでしょうか。

日本での調査

　2020に実施された調査*¹ では、日本人女性のアナルセックスの経験率は11.6%と報告されています。
　同調査で「アナルセックスの経験があり、気持ち良いと感じている」人の割合は、男性は3.9%でしたが、女性は1％台でした。

　日本ではアナルに関する調査データが少ないため、今後の研究に期待です。

アメリカでの調査

　アメリカ疾病管理予防センターの女性6,141人への調査*²では、15～49歳の女性の35.1％が異性のパートナーとアナルセックスをしたことがあると報告しています。

　また、インディアナ大学では、肛門への3つの刺激方法に対する反応を調べた研究が2022年に行われました*³。

　その調査では、女性（n= 1,283）約10人に4人（43.5%)が、何らかの形の肛門接触（内肛または外肛）で快感を経験したと回答しました。

アメリカでは、アナルセックスの経験率が日本よりも高いし、「実際にどんな風に触ったら気持ち良いと思うか」ということまで研究されているんだね。

気持ちいいと思う人も約半数いるみたいだけど、どういう仕組みで気持ちいいと思うんだろう。

うんうん、経験がないとなかなか想像つかないよね。

女性のアナルは性感帯なのか？気持ち良い理由

　アナルでの快感の仕組みについて、身体的・精神的な理由を経験者の声も交えて探っていきましょう。

アナルと性的快感（オーガズム）

　はじめに、オーガズムはどのように起こるのかを整理しましょう。

　過去のさまざまな研究から、クリトリス（陰核）・膣内部等の一般的に「性感帯」と呼ばれる箇所の神経終末から得た刺激が、最終的に脳に伝わることで、オーガズムや射精が起こることがわかっています。

　詳細に言えば、性器には神経が集中しており、神経終末から得た刺激が感覚神経を通して脊髄から脳へ伝わり、脳の快感回路が活動することで女性はオーガズム、男性は射精が起こるとされています。

　また部位によって感覚神経は異なっており、クリトリス（陰核）なら陰部神経、膣なら骨盤神経といったように、刺激を受ける神経が違います。（下記図参照）

　男女で神経の種類は変わりませんが、女性は下腹部の感覚神経が複数の臓器に張り巡らされており、それ故「女性のオーガズムは多様」と言われています。

　上の図からも分かるように、肛門はクリトリスと同じ陰部神経や膣と同じ骨盤神経が支配していることから、アナルの刺激で快感を得られると考えられます。

　また、直腸内からお腹の方に向かって刺激すると、隣にある膣や子宮口（ポルチオ）に当たり、そこからも快感を得られる可能性があります。

　大切なのは、男女問わず、神経が集まる密度や分布には個人差があるということです。同じ女性でも、クリトリスに神経が多い方・肛門に神経が多い方など、人によって異なります。そのため、肛門で気持ち良さを感じる人・感じない人がいるということになります*⁵。

からだって不思議…！色んな神経の働きが、快感に繋がっているんだね。

アナルセックス経験者からの声

　実際にアナルセックスの経験者2名に、アナルセックスの快感について伺いました。

ふむふむ。やっぱり最初は痛みがあるんだね。でも少しずつ気持ち良くなるのか～。クリトリスや膣と一緒に刺激するのがポイントになりそうだね。

体験談、参考になる～！

アナルを使った性行為の注意点

　ここまでは、アナルの快感の仕組みについて説明しましたが、実際にアナルを使う場合は、さまざまな注意点があります。興味がある方は、しっかり押さえておきましょう！

①アナルの特徴やアナルセックスのリスクを知っておく

　胎児を出産するため伸縮性がある「膣」と比べると、肛門はとても狭く、大きく開くことはできません。

　摩擦や無理な刺激によって、目に見えない小さな裂傷や擦り傷がついてしまうと、細菌やウイルスが通過しやすくなります。

　また、直腸の内壁は吸収性が非常に高く、精液や血液などの体液を介して、細菌やウイルスを吸収しやすくなっています。

　血液中には、HIV、B・C型肝炎ウイルス、梅毒などの感染元が存在します。

　アナルプレイにチャレンジをする際は、傷がついたり体液が直接つかない様に心がけましょう。

　アナルプレイを行う前にお互いが性感染症の検査をあらかじめ受けておくことも大切です。

　最近ではインターネットでも検査キットを手に入れることもできるようになってきました。安心、安全なプレイを心がけましょう。

②段階を踏んで準備をする

　アナルプレイでは便がついて後処理が大変なこともあります。

　なるべく実践前に排便しておきましょう。

　また、いきなりペニスなどを挿入すると、肛門に傷がついてしまいます。

　指や細いプレジャーアイテム®を用いて少しずつ刺激していきましょう。

　事前にお風呂などで体を温めると、肛門もリラックスして痛みを感じづらくなるのでお勧めです。

③コンドームをつける

　アナルセックスの場合、妊娠の心配はありません。

　しかし、女性の肛門が傷ついたり、男女ともに性感染症のリスクがあるので、コンドームは必ず着けましょう。

④潤滑ゼリーを使用する

　膣とは異なり、直腸には潤滑液の分泌機能はありません。

　潤滑ゼリーを使用し、直腸を摩擦による損傷から保護しましょう。

　指やプレジャーアイテム®を挿入するときは、ゆっくり無理なくやりましょう。

⑤アナルを触った後は他の粘膜に触れない

　アナルを刺激した後は、同じ指や舌、ペニス、道具で他の粘膜（特に膣）に触れないようにしましょう。

　アナルや直腸には大腸菌がいて、そのまま他の粘膜に触れると感染症のリスクがあります。

　また、アナルプレイが終わった後はすぐに手洗いなどして、清潔を保つようにしましょう。

⑥相手の同意や自分の気持ちを大切にする

　アナルプレイにおいても「性的同意」は大切です。

　したくない人は無理にする必要はありませんし、どちらかが嫌な場合はすぐにやめましょう。

⑦骨盤底筋トレーニング（膣トレ）をしておく

　骨盤底筋トレーニングを実践していると、肛門周辺の筋肉を意識できるようになり、筋肉のリラックスもしやすくなります。

　一方で、アナルセックスが頻繁に行われたり、長期に行われることで、肛門括約筋の筋肉組織を損傷してしまい、便漏れを起こしてしまうことがあります。

　便漏れの予防やオーガズムも得やすくなるため、是非日頃から骨盤底筋体操を取り入れてみましょう。

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骨盤底筋とは　尿もれ・臓器脱予防にゆるませるべからず

アナルセックス経験者が語る注意点

　アナルセックスの注意点について、再び経験者の意見を聞いてみましょう。

相手選びも大事って、本当にそうだね。少し挑戦的なセックスだからこそ、しっかり話せる相手を選ぶのがいいね。

断る勇気を持っておいたり、それを話しやすい関係性を作っておく必要がありそうだね！

アナルも性感帯 注意点を守って安全に楽しもう！

　アナルが感じる理由を解説しました。

　「アナル開発を楽しんでみよう」とチャレンジすると、何か新しい発見があるかもしれません。

　興味がある方は注意点も確認しつつ、楽しんでみてはいかがでしょうか。

快感って奥深すぎる～！
モヤピンも試してみたい～。

膣もそうかもしれないけど、アナルで気持ちよさを感じるまでには、ある程度段階を踏む必要がありそうだね。まだ想像つかないけど、ちょっとだけ気になるかも…！

そうだね。肛門は繊細だから、焦らずゆっくり慣らす方が良さそうだね！今日話した注意事項やしっかり事前準備するのを忘れないでね！

【参考／出典元】

この記事を書いた人

矢野 真奈 TENGAヘルスケア社員

大学では社会学を専攻。日本の性教育の遅れを感じ、何か自分にできることはないかと学生団体の立ち上げやイベントの運営に関わる。2023年にTENGAヘルスケアに入社、SNSやセイシルの運営などを担当。

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