アナルセックス ゲイ 男性

男性のアナルセックス 安心・安全に行うポイント

2026-04-20

 アナルセックスは、バイセクシュアルやゲイの人をはじめ、性的指向を問わず親密さを深める行為のひとつです。

 しかし、正しい知識や準備がないまま行うと、痛みやケガ、性感染症のリスクを伴います。

 初めて挑戦する人ほど、「どう準備すればいいの?」「どんな知識が必要?」「痛くないの?」と不安を感じるものです。

 この記事では、男性のアナルセックスに着目して、医学的根拠に基づいた安全な方法を紹介します。

 不安を減らし、安心して快感を楽しむための基本を一緒に学んでいきましょう。

注1)この記事では「ゲイ男性のセックス」という表現を用いていますが、バイセクシュアルの男性を含む、男性の身体をもつ人同士のセックス全般を指しています。


注2)「ちつ」の解剖学的に正しい表記は「腟」ですが、この記事では一般的な表記である「膣」を使用します。


この記事の監修

遠藤先生_プロフィール画像

遠藤 洵之介 医師

ベアクリニック院長。日本専門医機構認定内科専門医。慶應義塾大学医学部卒業、内科学教室助教を経て、現在はゲイ・LGBTコミュニティに特化した性健康クリニックで診療に従事。HIV/AIDS、STI治療、PrEP処方、性健康カウンセリングを専門とする。日本エイズ学会会員。

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この記事の協力者

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ラビアナ・ラベイジャ 性教育ドラァグパフォーマー

性教育ドラァグパフォーマー。日本各地のクラブで性教育パフォーマンスをする傍ら、様々なイベントでトークショーやMC、執筆、翻訳などもこなす。性科学会会員、性の健康カウンセラー、不妊症・不育症ピアサポーターでもある。

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登場人物アコーディオン
  • モヤピン

    モヤピン

    性のモヤモヤから生まれた妖精で、セイ星から地球へ派遣されたが、知識面ではあまり頼りにならない。性知識に富んだ仲間を頼って、人間と一緒に学んでいる。

  • ニジー

    ニジー

    多様性、LGBRQに詳しい妖精。派手な見た目だが真面目。

ニジー


あれ?モヤピン、いつにも増して暇そうだね。

暇そうなモヤピン
モヤピン

いつにも増しては余計だよ〜。春休みでセイ星の課題もないし、あやとしょうたも最近仲良さそうだし、やることないんだ〜。

ニジー

「ゲイ男性のアナルセックス」のレポートも終わったの?今日までじゃなかった?

モヤピン

 

…え?何それ。

ニジー

春休みに課題がないわけないじゃん。春休みのしおりに書かれてたよ!

モヤピン

えぇ!あのしおり捨てちゃった!やばい!どうしよう、落第だ!ニジーお願い、書くこと教えて〜。

ニジー

やれやれ、仕方がない、今から説明するから、しっかり書くんだよ!

    ゲイ男性のセックスとは?挿入のないセックス(バニラ)も

     まず前提として、全てのゲイ男性がアナルセックス(肛門への挿入を伴う行為)を行うわけではありません

     ゲイ男性同士のセックスは、大きく分けて次の2つの形があります。

    • 挿入を伴うセックス
      ペニスを肛門に挿入する行為で、行う際には肛門・直腸の洗浄や、十分なリラックスと潤滑がとても重要です。
      摩擦や感染症を防ぐため、コンドームと潤滑剤を併用することが推奨されています。

    • 挿入を伴わないセックス(いわゆる「バニラ」)
      肌と肌の触れ合いや、手や口でペニスを刺激し合うなどの方法で性的な快感を共有します。
      挿入に抵抗がある人や、アナル洗浄などの準備が負担な人なども含め、バニラを中心に楽しむカップルも多くいます。

    ニジー

    アイスのバニラ味が語源なんだよ。バニラはスタンダードで誰でも食べやすいよね?そのイメージから「特別なプレイを含まない基本の行為」という意味で使われているんだ。

    モヤピン


    モヤピンの好きなアイスの味は、チョコミント!よりも、あ・な・た♪

    アナル洗浄:正しい方法とリスクの理解

     アナルセックスの前準備として大切なのが「アナル洗浄(腸内洗浄)」です。
    誤った方法は健康リスクを伴います。

     ここでは、医学的に正しい洗浄方法とリスクについて説明します。

     アナル洗浄は、肛門や直腸を清潔にし、感染症や臭いなどのトラブルを防ぐために大切ですが、洗いすぎも粘膜を傷つけるリスクがあります。

     まず腸のしくみについてです。

    大腸の曲がり角 直腸S状部の画像

     健康な状態では、直腸内に便はほとんど貯留していません。

     便は通常、直腸より上部(S状結腸)に貯留しており、排便の直前に直腸に降りてきます。

     排便後の直腸は、基本的に空の状態です。

     したがって、洗浄する部位は肛門から15cmくらいの深さまでです。

     水をいれ過ぎないことが大切です。

     曲がり角に当たる直腸S状部(肛門から約15〜20cm)を超えて、S状結腸まで水が入ると、行為中に水が逆流してもよおす原因になります。

     アナル洗浄には、「シャワ浣(シャワー浣腸)」や、市販の「エネマキット(自宅で腸内洗浄を行うための専用の浣腸器具キット)」を使う方法があります。

    ひとことアドバイスキャラクターニジーのひとことアドバイス

      • 基本的にお風呂やトイレで行う。洗面所でタオルを用意して行うこともある。
      • 和式トイレのようにしゃがんで洗浄すると、肛門が開きやすいので水を出しやすい。
      • 水温は体温に近い37〜38℃程度が望ましい。冷水は腸を刺激し、逆に熱すぎると粘膜を傷つける。
      • 一度に入れる水の量は100〜200ml程度で十分。無理に深部まで入れないように注意する。これを2-3回繰り返す。
      • シャワーを使用するなら水圧をできるだけ弱く設定する。

     アナル洗浄は完全に安全な行為ではありません。

     医学的には、頻繁なアナル洗浄が粘膜にダメージを与えることや、粘膜表面に微細な傷が生じたり腸内細菌叢が乱れることによる、性感染症のリスク上昇の可能性が指摘されています。

     「清潔」と「安全」は違います。

     「清潔」にこだわりすぎて健康を損なっては本末転倒です。

     適度な洗浄と、コンドームの使用とHIV PrEP(後述)などの予防策を組み合わせることが大切です。

    性感染症対策:予防と定期検査も忘れずに

     直腸の粘膜は非常に薄く傷つきやすく、ウイルスや細菌が侵入しやすいため、アナルセックスは性感染症のリスクがほかの性行為より高いことが分かっています。

     例えば、アナルセックス(ウケ)のHIV感染リスクは、膣セックスの約18倍にもなります。*¹

    性行為の種類1回の性行為あたりのHIV感染リスク
    アナルセックス(ウケ)約1.4%(約70回に1回)
    アナルセックス(タチ)約0.11%(約900回に1回)
    膣セックス約0.08%(約1,250回に1回)
    1回の性行為あたりのHIV感染リスク(性行為の種類別)

     

     性感染症の多くは無症状で進行するため、定期的な検査が非常に重要です。

     米国では性行為があるゲイ男性は、最低年1回、以下の検査を行うことが推奨されています。

    • HIV検査

    • 梅毒検査

    • 淋菌/クラミジアPCR検査(咽頭・尿道・直腸の3部位)

    • B型肝炎検査

    加えて、以下に該当する場合には3-6ヶ月ごとの検査が推奨されています。

    • HIV PrEPを使用している(後述)

    • 複数のセックスパートナーがいる

    • 匿名のセックスパートナーがいる

    • 薬物使用下での性行為がある

    • 過去に性感染症にかかったことがある

    • パートナーがHIV陽性である

     つまり、性行為があるゲイ男性は全員が年に1回の検査、マッチングアプリ等を使用するならば3-6ヶ月に1回の検査が健康のために必要ということです。

     定期的な検査で早期発見・治療が可能となり、自分とパートナーの健康を守ることができます。

    ひとことアドバイスキャラクターニジーのひとことアドバイス

    • 「症状がないから大丈夫」は危険!

      直腸の淋病やクラミジアは70%以上が無症状なんだ。

      知らないうちに感染して、パートナーに移してしまうこともある。

      だからこそ、定期検査が大切なんだよ。

      検査は自分だけじゃなく、パートナーやコミュニティ全体を守る行動なんだ!

    性感染症を防ぐための予防薬とワクチン:最新の選択肢

     性感染症予防には、コンドームの使用に加えて、現在では予防薬やワクチンという選択肢があります。

     米国では、ゲイ男性に対して以下の全ての予防方法が推奨されています。

    HIV PrEP (曝露前予防:Pre-Exposure Prophylaxis)

     HIV PrEPは、性行為より「前」から内服することで、HIV感染リスクを99%以上減少させることができ、コンドーム単独よりも高い予防効果があります。

     米国では2010年ごろより普及が始まりましたが、日本でも2024年に「ツルバダ配合錠」が曝露前予防薬として薬事承認されました。

     多くの国では日本よりもHIV PrEPの普及が進んでおり、性行為の頻度やリスクに関係なくゲイ男性に利用されています。

     HIV PrEPを行っていない状態で、コンドームが破れた、または使用せずにHIV感染の可能性がある相手と性行為があった場合には、72時間以内にHIV PEP(曝露後予防:Post-Exposure Prophylaxis)を開始することでHIV感染リスクを約80%以上低減することができます。*²

     しかしHIV PrEPほどの予防効果はないため、性行為前からHIV PrEPを始めておきましょう。

    こちらも参考に

    「HIV PrEPとは 」ベアクリニック

    Doxy PEP

     性行為の「後」72時間以内に抗菌薬を服用することで、細菌性性感染症(梅毒、クラミジア、淋病)の感染を予防する方法です。

     米国では2024年ごろより始まりました。

     日本でも処方が始まりつつありますが、現時点でDoxy PEPは日本では未承認です。

     梅毒は約70%以上、淋菌は40-50%程度の感染リスクの低減が期待されています。*³

    HPVワクチン

     HPV(ヒトパピローマウイルス / Human Papillomavirus)は、肛門がん、陰茎がん、咽頭がん、尖圭コンジローマ(性器いぼ)の原因となります。

     ゲイ男性はヘテロセクシャル(異性愛者)男性と比較して、肛門がんのリスクが約17倍高いといわれています。*⁴

     日本では9種類のHPV型を予防できる9価HPVワクチン(シルガード9)の男性への接種が2020年12月より承認されました。

     一部の自治体では、HPVワクチン接種に補助金を設定しているので、お住まいの自治体に確認をしてみましょう。

    A型・B型肝炎ワクチン

     A型肝炎は糞口感染(便が口に入ることで感染)、B型肝炎は性行為より感染が起こります。

     ともにワクチン接種により予防することが可能です。

    予防の多層アプローチ(Combination Prevention)

     単一の予防法だけでなく、複数の方法を組み合わせることで、感染リスクを最大限に減少させることができます。

    • コンドームの使用:HIV・細菌性性感染症リスクを80〜95%減少

    • HIV PrEP服用:HIVリスクを99%減少

    • Doxy PEP:細菌性性感染症リスクを40〜70%減少

    • 定期検査:早期発見・早期治療

    • ワクチン接種:HPV、A型・B型肝炎を予防

    これらを組み合わせることで、最も効果的な予防が実現します。

    ひとことアドバイスキャラクターニジーのひとことアドバイス

    •  予防薬やワクチンは「保険」のようなもの。

       HIV PrEPやワクチンを使っているからといって、コンドームを使わなくていいわけじゃない。

       車のシートベルトとエアバッグのように、どちらも大切なんだ。

       それぞれの予防法には長所と短所があるから、自分のライフスタイルに合わせて、医師と相談しながら選ぼう!

    アナルセックスの必需品!コンドームと潤滑剤の選び方

     コンドームは、性感染症の予防に非常に効果的です。

     使用する際は、自分に合ったサイズを選び、使用期限を確認することが大切です。

     また、正しい装着方法を守ることで、その効果を最大限に引き出すことができます。

     更に、アナルセックスでは十分な潤滑が必須です。

     肛門や直腸は膣のように自然な潤滑液が分泌されないため、潤滑剤なしでの挿入は痛みや粘膜損傷、コンドーム破損のリスクが高まります。

     ボディ用のローションなどではなく、肛門専用の潤滑剤があるので、そちらを用意しましょう。

     水溶性の潤滑剤は洗いやすく、使いやすいのが特徴です。

     一方シリコンベースの潤滑剤は滑りが長持ちしやすく、よりアナルセックスに適していると言われています。

     ベビーオイルやワセリンはラテックスコンドームを劣化させ、破損リスクを増加させるため性行為に使用することは避けましょう。

    ニジー

    安全なアナルセックスのためには、コンドームと潤滑剤の使用が大切だね!どちらも色々試してみて、自分に合うタイプを選ぼう!

    モヤピン


    妊娠しないから、コンドームはいらないと思ってた〜。

    ニジー

    呆れた!肛門だって粘膜なんだよ。膣挿入と同じように感染リスクがあるから覚えておいてね。

    アナルセックスをさらに楽しむポイント:快感と安全の両立

     快適で楽しいアナルセックスをするためには、いくつかテクニックがあります。

     特に、肛門をほぐすことと前立腺の刺激はポイントです。

    • 優しく撫でる
      挿入よりも前に、まずは肛門の周りを指の腹で優しく撫でる所から始めましょう。筋肉をリラックスさせる効果があります。

    • 前立腺の刺激
      直腸側から前立腺を刺激することで、快感を得られることがあります。指先でのピンポイントな圧力ではなく、指の腹を使って優しく刺激します。会陰部(肛門と陰嚢の間)を外側から押すことでも間接的に刺激できます。

    • ベアーダウン(いきみ)
      肛門をほぐす際や挿入時に、受ける側はやさしく押し出すように力む(ベアーダウン)ことにより肛門が弛緩しやすくなります。リラックスすることで粘膜が傷つきにくく、前立腺を刺激しやすくなる効果があります。

    また、痛みや出血がある場合には無理せず中断し、症状や違和感が続くようであれば医療機関に相談しましょう。

    肛門と前立腺の解剖図
    ニジー

    それぞれが気持ち良くなれるやり方を探していくのが大切だね。最初からアナルセックスが気持ち良い人は少ないよ。

    ひとことアドバイスキャラクター監修医からのひとことアドバイス

    • アナルセックスの快感は前立腺だけではなく、直腸粘膜の適度な進展・拡張や肛門入口部への刺激が関与すると考えられています。

      また直腸は蠕動(ぜんどう)運動があるため無理に押し込もうとすると括約筋が反射的に収縮し、粘膜損傷や裂肛のリスクが高まります。

      挿入のポイントは、ゆっくりと段階的に進めることです。

      最初の抵抗感(括約筋)を感じたら、いったん止まって3〜5秒待ち、一度引き抜いて潤滑剤を補充してから再度試みます。

      動き始めてからも、受け手が主導して深さとペースを決めることが安全です。

      鋭い痛みは必ず停止のサインとして守ってください。

    安全で安心できるアナルセックスを

     ゲイ男性のセックスでは(もちろんそれ以外の人達でのセックスでも同様ですが)、挿入の有無に関わらず、自分たちが心地よいことが一番です。

     アナルセックスにチャレンジする方は、安全・安心な方法で、そして何よりお互いを尊重し、思いやりを持ってセックスを楽しんでください。

    モヤピン


    ニジーのおかげでレポート書けたよ!ありがとう!

    ニジー


    でしょ?でも残念なお知らせがあります。

    モヤピン


    え?何?

    ニジー

    …さっき確認したんだけど、レポート提出の期限は昨日だったよ…。

    モヤピン


    ぎゃ〜!!何だって!?先生に土下座してくる〜!

    ★この記事は、一般的な医学情報および教育目的で提供されており、個別の医学的助言、診断、治療の代替となるものではありません。個別の健康状態や懸念については、必ず資格のある医療専門家に相談してください。執筆・監修時点で最新の情報をもとに作成していますが、医学は日進月歩です。必ず最新情報にあたるようにしてください。


    この記事を書いた人

    福田

    福田 眞央 TENGAヘルスケア社員

    保健体育科教員として勤めた後に大学院に入り、ジェンダー学・性教育を専攻。2021年からTENGAヘルスケアに携わり、10代向け性教育WEBメディア「セイシル」を担当。

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