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オナ禁(禁欲)に効果はあるか 科学的観点から噂を検証!

2024-11-15

 男性なら経験者も多いオナ禁。オナ禁について、ネット上には様々な書き込みが見られますが、実際のところオナ禁にはどのような効果があるのでしょうか。

 今回はオナ禁について、科学的な観点から、そのメリットとデメリットを紹介していきます。オナ禁について正しい情報を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

注)一定期間射精を我慢する行為は、医学的には「禁欲」と呼ばれ、「オナ禁」は俗称です。本記事では一般性を考慮し、「オナ禁」と「禁欲」の両方の表記を用います。

注)「ちつ」の解剖学的に正しい表記は「腟」ですが、この記事では一般的な表記である「膣」を使用します。


この記事の監修

監修者:福元和彦

福元 和彦 医師

福元メンズヘルスクリニック 院長
■泌尿器科医 ■性機能学会専門医 ■抗加齢医学会専門医 ■排尿機能学会認定医

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だいすけ


なぁ、俺さ、最近変わったと思わないか?

しょうた


え…、そうっすね。最近女の子の話を聞かない…とかっすね。

だいすけ

お…半分正解!実は最近俺、禁欲してるんだ。セックスもしないで、オナ禁もして、もう2週間だぜ!ヤバいだろ!

しょうた


ええ!だいすけ先輩が禁欲!?なんで!?

だいすけ

定食屋で大きな声を出すなよ。しょうたには特別に教えてやるけどさ、噂によると、オナ禁すればマッチョになってモテるらしいんだ。どうだ。俺の筋肉も成長してるだろ?

しょうた

うーん、あんまわからないっすけど、俺もモテたいな!禁欲生活しようかな…。

ペニ丸


ちょっと待つでござる!

カバンから飛び出すペニ丸
だいすけ

うわぁ!おい、しょうた、ランチに連れて来ちゃいけない妖精ナンバーワンだぞ。

ぺニ丸

失礼な!おぬしたち、オナ禁のデメリットを知らないでござるな。

噂に惑わされず、この昼休みに正しい情報を頭に叩き込むでござる!

    オナ禁とは

     オナ禁とは、文字通りオナニー(マスターベーション)を意図的に行わないようにすることです。

     本記事では「マスターベーション、セックスに限らず、一定期間以上射精を行わないこと」と定義します。

     また、医学的には「禁欲」と呼ばれます。本記事では男性のオナ禁について言及してきます。

     オナ禁の影響は、まだまだ解明されていない点が多いため、今回は主に科学的な検証がなされたトピックを解説していきます。

    オナ禁によるテストステロン(男性ホルモン)の変化

     テストステロンとは、代表的な男性ホルモンの一種で、性欲、勃起、射精、精子形成などに関連する、重要なホルモンです。

     また男性の元気や活力の源となるホルモンでもあります。

     このテストステロンの血中濃度が、オナ禁(禁欲)によって変化することが報告されています*¹。

    禁欲日数と血中テストステロン濃度の関係のグラフ(0〜8日)

     この研究では、28名の男性ボランティアに8日間オナ禁(禁欲)をしてもらい、オナ禁中の血中の総テストステロン濃度を毎日測定しました。

     その結果、オナ禁7日目でテストステロン値が有意に増加(ベースラインの145.7%)し、8日目には元に戻ることが確認されました。

     また、この研究では8日目までオナ禁した時点で、被験者を下記の2グループに分け、引き続き禁欲とテストステロン値の測定が行われました。

    • 【グループA】8日目に一度射精をして、再度8日間禁欲を続ける群 
    • 【グループB】射精はせず、引き続き8日間禁欲を続ける群
    禁欲日数と血中テストステロン濃度の関係のグラフ(9日以降)

     結果、1度射精をしたグループAでは、再度、7日後にテストステロン値が上昇し翌日に元に戻る現象が見られました。

     一方、オナ禁を続けたグループBでは、テストステロン値の変化は見られませんでした。

     つまり、オナ禁すると7日目にテストステロン値が一時的に上昇し8日目には元に戻るが、それ以上オナ禁を続けても再度上がることはない、と言えます。

     しかし、テストステロン値が上昇したことでどのようなメリットがあるかは残念ながら不明です。

     というのも、テストステロンには種類があり、そのうちの生理的なメリットをもたらすと考えられる「遊離テストステロン」は今回紹介した研究では測定されていないからです。

    ひとことアドバイスキャラクター筆者 牛場のこぼれ話

    •  学生時代水泳部だった私の体験ですが、試合の一週間前からオナ禁をすると、非常に集中力が高い状態で試合に臨めた記憶があります。

       逆に、2週間オナ禁した時は、パフォーマンスが低下したことを憶えています。

       一個人の体験ですが、オナ禁によるテストステロンの上昇が、パフォーマンスに影響している可能性はあるかもしれません。

    オナ禁と前立腺がんの関係

     オナ禁(禁欲)は前立腺がんのリスクにも関係します。

     前立腺がんは、男性に最も多いがんです。月21回以上射精している男性では、そうでない男性と比較して、この前立腺がんの罹患リスクが有意に低いことが報告されています*²。

     逆に考えると、オナ禁は前立腺がんのリスクを上昇させると言えるでしょう。

    だいすけ


    射精が…、がん予防になるだと!

    しょうた


    え、オナ禁してる場合じゃないっすね。

    ペニ丸

    定期的な射精が前立腺内の有害物質の蓄積を防き、がんの発生リスクを下げる可能性があるでござる。

    オナ禁と精子の質の関係

     禁欲期間が長くなると、精子の質は低下します。詳しくは以下の記事にて紹介していますが、妊活中は2日に1回以上の射精が推奨されます。

     妊活中はオナ禁はせず、積極的に射精するようにしましょう

    ペニ丸

    長期間のオナ禁は、精子の運動性が低下して、妊娠率が低下する可能性があるでござる。

    しょうた

    妊活するなら適度な頻度で射精を行うことが大切なんだな〜。覚えとこ。

    オナ禁と勃起の関係

     オナ禁は勃起機能にも影響します。

     こちらも詳しくは以下の記事にて紹介していますが、陰茎の内部には海綿体と呼ばれるスポンジ状の組織があり、勃起とは、この海綿体が血液で膨らむ現象です。

    勃起の仕組みの解剖図

     実際のスポンジで考えると分かりやすいですが、水分を与えず放置していると、スポンジは次第に硬くなっていき、最終的にボロボロになって膨らまなくなります。

     長期間勃起しなければ、陰茎の海綿体でも同じ現象(線維化と呼ばれます)が起こります。

     まだ若く、毎朝しっかりとした朝勃ちがあればまだ大丈夫ですが、そうではない場合、日々勃起することは陰茎のメンテナンスに繋がります

    ペニ丸

    オナ禁で勃起が疎かにならないよう、注意するでござる!

    だいすけ&しょうた


    勃起万歳!

    オナ禁した方が良いのはオルガズム後症候群(POIS)の人

     「オナ禁で体調が良くなる」という個人の感想レベルの話を耳にすることはありますが、逆に射精後、極度に体調が悪化する病気が存在します。

     それが、オルガズム後症候群(Postorgasmic illness syndrome:POIS)です。

     POISは世界的に報告が少なく、謎の多い病気ですが、患者は射精後「インフルエンザのような症状が数日発症する」と報告されています*³。

     原因は未解明ですが、自身の精液によるアレルギーという説もあります。射精後に極度の体調不良が頻発する場合、POISの可能性があります。

     「もしかして」と思った方は、性機能専門医へ相談してみましょう。

    医者に相談する男性のイラスト

    オナ禁の良い噂は科学的根拠なし!正しい知識でマスターベーションを楽しもう

     今回はオナ禁について、科学的側面から解説しました。

     筆者の見解ですが、最後に紹介したPOISを除き、オナ禁はメリットよりもデメリットが多く、あまりオススメはできません

     オナ禁ではよく、「異性にモテる」「筋肉が付きやすくなる」「セックスでのパフォーマンスが上がる」がメリットと言われますが、これらに科学的根拠はありません。

     オナ禁のメリットと言うか、マスターベーションにデメリットがあるとすれば、不適切なマスターベーションで、膣内射精障害になってしまうことくらいです。

     ぜひ適切な方法で、日々のマスターベーションライフを楽しんでください。

    しょうた

    今夜はあやに、この話を聞いてもらってセックスに誘うぞー!

    って、あれ?だいすけ先輩どこに行ったんだ?

    ペニ丸


    だいすけ殿なら、さっき午後休とってナンパに行ったでござるよ。

    しょうた


    なにー!?だいすけ先輩の禁欲生活これにて終了!

    【参考/出典元】

    *1 Jiang, Ming. “Periodic changes in serum testosterone levels after ejaculation in men.” Sheng li xue bao:[Acta Physiologica Sinica] 54.6 (2002): 535-538.

    *2 Rider, Jennifer R., et al. “Ejaculation frequency and risk of prostate cancer: updated results with an additional decade of follow-up.” European urology 70.6 (2016): 974-982.

    *3 Natale, Caleb, et al. “Analysis of the symptomatology, disease course, and treatment of postorgasmic illness syndrome in a large sample.” The Journal of Sexual Medicine 17.11 (2020): 2229-2235.


    この記事を書いた人

    執筆者:牛場栄之

    牛場 栄之 TENGAヘルスケア社員(編集長)

    大学・大学院では神経科学を専攻、おとなセイシルでは性科学や性機能学、生理学の分野を主に担当。2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当。

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