妊活は何から始めたらよい? 流れや期間も解説
妊活とは妊娠に向けた活動全般を指します。
妊娠に向けて性交渉を行うことだけでなく、パートナーと話し合い、妊娠の計画を立てることや必要に応じて不妊治療を行うことも含まれます。
この記事では、今もしくは将来妊娠を考えている方に向けて、妊活の流れを解説します。
注)「ちつ」の解剖学的に正しい表記は「腟」ですが、この記事では一般的な表記である「膣」を使用します。
この記事の監修
今井 伸 医師
SRHケアクリニック静岡 院長
生殖医療(男性不妊・がん生殖)、性機能障害、男性更年期障害(LOH症候群)を専門とする。
泌尿器科医
性機能専門医
生殖医学会生殖医療専門医
性科学会認定セックス・セラピスト専門医
あやって子ども好きだよね!将来的には子ども欲しいって考えてるの?
うん!でも実はちょっとだけ不安で…。
そうなの?それってなんで?
職場の先輩が「避妊をやめたらすぐに妊娠できると思っていたけど、なかなかできなくて、検査したら不妊症の可能性があった」って言ってたんだ。
私も「コンドーム無しのセックス=すぐ妊娠する」って思ってたから、それを聞いて驚いて。
妊娠のしやすさって何で決まるのかな?って調べたら年齢も影響するらしいし。よくわかんないよ~
そうなんだ!妊娠に詳しい妖精っているのかな?ちょっと我こそはって妖精たち出てきちゃって~!
はーーーーーい!私たちにお任せあれ。
妊活とは? 年齢と妊娠確率の関係性
あやのお悩み
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将来的には子どもを授かりたいと考えています。
ただ、年齢が20代後半で、今のパートナーとの結婚はすぐには考えられていないため、妊活するのは30代になってからだと思います。
妊活って、すぐに妊娠を希望していない今でもできることはありますか?雑誌で目にした「年齢によって妊娠確率が下がる」ということが気になっています。
そもそもなぜ年齢によって妊娠確率が変わるのでしょうか。
(20代/女性)
あや、こんにちは!いつか妊娠したいって考えているんだね!妊活は、妊娠に向けた活動全般を指すので、今すぐに妊娠を考えていなくてもできることがあるよ。
そうそう。妊活にはパートナーと話し合い、妊娠の計画を立てることから、必要に応じて不妊治療を行うことまで含まれるんだよ。
年齢ごとにみる妊娠確率
一般社団法人 日本生殖医学会の生殖医療Q&A(旧 不妊症Q&A) では、女性の年齢と妊孕力の変化を上記の図表で紹介しています。
上記の妊孕率は、女性1,000人あたりの出生数(17~20世紀のアメリカ、ヨーロッパ、イランなど10ヶ所のデータ:Henry, L. (1961). Some data on natural fertility. Eugenics Quarterly, 8(2), 81-91.)を元に、20-24歳を100%として計算した。年齢の増加に伴い(特に35歳以降)妊孕率の低下が認められる。データは平均±標準偏差で示したとのことです。(2016年12月12日一部内容を改訂)
上記のグラフからも、年齢が上がるごとに妊娠確立が下がっていることがよくわかります。
年齢と卵子の数の変化
年齢と妊娠確立の変化には、「卵子数の減少」と「卵子自体の老化」が大きく関係しています。
下記の図表のように、閉経に向けて卵子の数はどんどん低下していきます。そして卵子は新しく作られません。
20代では約10万個あった卵子は30代後半には2万個までに減少。さらに卵子自体の生殖機能も衰えていくのよ。
わー!こんなに減っているんだ。年齢が若いうちほど卵子も多いし、質も高いから妊娠確率が高いってことなんだね。
そうなの。だから加齢によって妊娠確率が低下することは自然なことなのよ。
妊活は何から始めれば良い?【流れを画像で解説】
そもそも妊活って何から始めれば良いのかな?今は考えていない人でもできることがあるの?
もちろんある!当然ながら妊娠は一人では行えないもの。下記のロードマップも参考に、パートナーと一緒に妊活について考えるところから始めるのがおすすめだよ。
STEP1:パートナーと妊娠・出産について話し合う
まずはパートナーとそもそも子どもが欲しいのか、妊娠・出産を希望するのか、いつ子育てをスタートしたいと考えているのかなど話し合うところから始めましょう。
例えば、自分は不妊治療をしてでも子どもを望んでいるのに、パートナーは「自然妊娠しなければ子どもがいない生活でも良い」と考えているかもしれません。
二人で話したい項目
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子どもが欲しいのか
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妊娠・出産で子どもを希望するのか
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いつ子育てをスタートしたいと考えているか
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自然妊娠が難しかったら不妊治療にチャレンジするか
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2人目以降の子どもはいつ、何人欲しいのか など
確かに、二人が思い描く「家族像」は違うかもしれないよね。
相手が妊娠・出産に関して何も考えていない可能性もあるよ。その場合も、こうした話題が考えるきっかけになる場合もあるよ。
しょうたは何も考えていなさそうだな~。
STEP2:妊活をこの先行うなら「プレコンセプションケア」から始めよう
「今すぐ妊娠するため」ではなく、パートナーとの将来の妊娠に向けた準備のことを「プレコンセプションケア」というよ。
妊活にはなんといっても健康管理が大切よ!あやだけでなく、パートナーのしょうたもね。それは、男女ともにいきなり妊娠に適した体になるわけではないから。
そのためには、生活習慣を整えたり、定期的に健康診断を受けて健康管理をすることも大切だよ。
プレコンセプションケアの一例
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適度な運動を行う
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バランスの良い食事を摂る
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7~8時間は睡眠をとる
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ストレスを溜めない
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禁酒・禁煙は早めにできると◎
あと、過度なダイエット、体重の大幅な増加にも注意しよう。適正体重から大きく外れていると、妊活に支障をきたす可能性があるからです。
今のあやだと、ダイエットは必要ないよ!健康管理の中で適正なBMI値・体重を保つことも意識してね。
STEP3:妊娠・出産に影響のある疾患がないか検査を受ける
妊活を始める段階になったら、妊娠・出産に影響のある疾患がないか、パートナーと共に検査を受けましょう。妊活開始前に検査が必要な理由は、症状や異変が現れていなくても、不妊や不育のリスクが隠れている可能性があるためです。
不妊の原因は、女性の原因が41%、男性の原因が24%、男女ともに原因がある場合が24%で、不明が11%を占めています。
男女どちらにも原因があるかもしれないので、二人で妊娠に必要な力「妊孕性(にんようせい)」がどのくらいあるか、不妊や不育のリスクがないか検査を受けるようにしましょう。
不妊の原因を早期発見できれば、治療の上、妊活を始められます。逆に、妊活をある程度の期間行った後に不妊原因が発見された場合は、治療を受けてから妊活を再開することとなるため、時間のロスと、妊活計画の変更が生じます。
「まだ妊娠確率の高い年齢だから検査は必要ない」などと考えずに、妊活を始める前に検査を受けるのがおすすめだ!
<妊活に向けて早めに受けたい検査>
検査 | わかること |
婦人科検査 | 子宮や卵巣に異常がないか、排卵について |
AMH検査 | 卵巣にある卵子の数 |
性感染症検査 | 不妊の原因となる感染症にかかっていないか |
精液検査 | 精液の量や精子の濃度、数、運動率 |
妊活に向けて必要な検査項目をまとめた「ブライダルチェック」「妊活ドッグ」などもおすすめです。
※クリニックによって実施の有無、名称や検査項目が異なるので、お近くのクリニックにお問い合わせください。
男性不妊に関しては、下記の記事で詳しく解説してるらしいよ〜。
女性は将来のために卵子凍結の選択肢も
卵子凍結の一番の特徴は、卵子を妊娠する能力が高いままの状態で保存できることです。将来妊娠したいとなった時に、状態の良い卵子で妊娠に挑戦できます。
今すぐに妊娠を考えていないけど、いざ妊娠したい時に卵子が妊娠しやすい状態とは限らないもんね…。選択肢の一つとして覚えておこう!
STEP4:排卵日に合わせてセックスする
妊娠するためには、セックスするタイミングも重要です。妊娠は、卵子と精子が受精し、受精卵が子宮内膜に着床して成立します。
受精する可能性があるのは「排卵日」の5日前~排卵日の期間といわれています。
ただ、排卵日をピッタリ予想するのは難しいので、排卵予定日の6日前~排卵1日後(合計8日間)辺りを狙ってセックスしましょう。
自宅での排卵日の予想方法
- 月経周期から予想する(28日周期の人の場合、月経開始日から14日目が排卵日)
- 基礎体温のグラフから予想する(低温期から高温期へ変化する時期に排卵がある)
- 排卵検査薬を使用するおりものの状態変化から予想する(排卵に向けておりものの粘り気が増していく)
基礎体温をつけたり、生理周期管理アプリを活用して排卵日を予測すると良いと思うよ♪
より詳しい内容が知りたい人は「タイミング法」に関する記事もチェックしてね。
男性はセックス中の十分な勃起ができているか、膣内で射精できているかをチェックしましょう。射精できていないと妊娠につながらないからね。
もし膣内での射精が難しい場合は「シリンジ法」もおすすめだよ。
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STEP5:妊娠が成立しない場合は不妊原因を検査する
タイミング法を続けてみて、1年間妊娠しない場合は不妊の可能性があります。
STEP1で紹介した「妊娠・出産に影響のある疾患がないか検査」では妊娠・出産に影響のある疾患や過去の病歴を調べるのに対し、不妊検査では、現在妊娠を妨げている原因を調べます。
女性は排卵状況やホルモン、子宮の状態などを検査するため、前述の「基礎体温のグラフ」があると、検査の参考になるかもしれません。
男女ともに、セックスの状況について問診される場合もあるよ。セックスの頻度や、膣内射精ができているかなどもわかる範囲で医師に伝えられるとより良さそう。
STEP6:検査結果に合わせて妊活の方法を検討する
検査や問診を通じて自分達の体の状態が分かったら、それに合わせて、適切な治療や方法が提案されます。治療のレベルを上げていくことを「不妊治療のステップアップ」と呼びます。
二人の状態や状況に合わせて、主に以下の方法が段階的に実施されます。
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排卵予定日に合わせてセックスを行うタイミング法
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子宮内へ人工的に精子を注入する人工授精
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卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を子宮へ戻す体外受精・顕微授精
卵管に障害がある、精子の質が低いなどの場合は、「体外受精・顕微授精」を始めから試す場合もあるでしょう。
2022年4月からは、不妊治療が保険適用になり、医療機関の窓口で支払う医療費が原則3割負担となっているよ!
不妊治療の保険適用の条件は、治療開始の時点で女性が43歳未満であること。
「もしかして不妊かも」と思った時には早めに医療機関を受診しよう。
妊娠を考えたら、今できることから始めよう
はーーーーこうして見ると、妊活って巨大プロジェクトなんだね。関連記事紹介だけで疲れちゃったよ。
そうだよね!まずはしょうたと将来のこと、話し合ってみようかな。妊娠を今すぐ考えていなくても、いつか子どもが欲しいなら今からできる妊活があると知れてよかったよ。
生活習慣もしょうたと一緒に気を付けていきたい!
素晴らしい!妊活は二人の年齢や状況、希望などによって、進め方が大きく変わるからね。自分達の将来のことや、体の状態を確認して、それに合わせた適切な方法を選択することが大切だよ。
妊活の準備開始は、早ければ早い程良いのさ。できることからはじめていこう!
この記事を書いた人
綿来 美紀 TENGAヘルスケア社員(ディレクター)
大学時代よりウェブメディアのライターとして活動。 TENGAヘルスケア、iroha関連コンテンツサイトのSEO担当者として2024年2月に入社。
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