LGBTQ+とは すべての人が自分らしく生きる社会のために
性のあり方は人それぞれ。
近年、LGBTQ+という言葉が浸透し、問題や課題がより語られるようになってきました。
しかし偏見や差別、誤解もまだ根強く存在します。
今回はLGBTQ+への理解を深める第一歩として、押さえておきたい基礎的な用語を解説していきます。
この記事の監修
松岡 宗嗣 ライター/一般社団法人fair代表理事
愛知県名古屋市生まれ。政策や法制度を中心とした性的マイノリティに関する情報を発信する一般社団法人fair代表理事。
ゲイであることをオープンにしながら、Yahoo!ニュースやGQ、HuffPost等で多様なジェンダー・セクシュアリティに関する記事を執筆。
教育機関や企業、自治体等での研修・講演実績多数。著書に『あいつゲイだって – アウティングはなぜ問題なのか?』(柏書房)、共著『LGBTとハラスメント』(集英社新書)など
おっけー!今回はLGBTQ+について紹介するね。
セクシュアリティとは
LGBTQ+の説明の前に、セクシュアリティを紹介するね。
性のあり方は4つの要素で構成されていて、これをセクシュアリティと呼びます。
引用元:withセイシル「【挿絵画像】性のあり方にかかわる性の4要素」
生物学的な性(からだの性)
生まれた時に確定する性のことです。
多くの場合、外性器の形から判断され、法律上「女性」か「男性」か割り当てられます。
しかし、先天的にペニスのない男性や、子宮のない女性なども存在します。「からだの性」と一口に言っても、実は男女の二つにハッキリと分かれない場合もあるのです。
性的指向(好きになる性、どんな性別にひかれるか)
自分の恋愛や性愛の感情がどんな性別の人に向くか、という要素です。
異性を好きになる、同性を好きになる、どちらの性も好きになる、性別で好きになる人を決めたくない、特定の誰かを好きにならないなど、性的指向は人によって様々です。
性自認(じぶんの性、自分をどんな性別だと思うか)
自分の性別をどのように認識しているか、という要素です。
性自認は必ずしも男女の2種類だけがあるわけではなく、人によっては揺らいだり、どちらでもないと感じたりする人もいます。
男性だと認識している人、女性だと認識している人、中性だという人、性別を決めたくない人など、様々なタイプがあります。
性表現(らしさの性、どのように自分を表現するか)
社会的に自分の性別をどう表現するかを表す要素です。
性表現も生物学的な性、性的指向、性自認などと連動しているわけではありません。
性表現の方法は俺・僕・私といった一人称や、服装のスカート、パンツスタイル、他にも様々な方法で表現されます。
この「性自認」と「生物学的な性(からだの性)」に基づく割り当てられた性別が一致していなかったり、異なる性で生きようとする人たちをトランスジェンダーと呼ぶんだ。
一方で割り当てられた性別と「性自認」が一致している人のことはシスジェンダーっていうよ。
私は割り当てられた性別と性自認が一致しているからシスジェンダーになるのかな?
そうだね。割り当てられた性が男性で、性自認が女性の人をトランスジェンダー女性、割り当てられた性別が女性で性自認が男性の人をトランスジェンダー男性と呼ぶこともあるよ。
割り当てられた性別とは
-
「身体的な性別の特徴」から、法的・社会的に男性/女性と指定された性別のことを指すよ。
私たちは生まれたときの「生物学的な性(からだの性)」をもとに、法的・社会的に男性か女性に振り分けられるよね。でも、性分化疾患など、典型的な男性/女性に分けきれない場合もあるし、そもそもどの性の特徴(外性器、内性器、性染色体など)をもって、男性/女性とするかに絶対的な線引きがあるとは言えないんだ。
だから、特にトランスジェンダーやシスジェンダーについての説明では、そうした「割り当てられた性別」に対して、性自認が異なる/一致しているという説明をすることがより適切と言われているよ。
LGBTQ+ってなに
LGBTQというのは、レズビアンの「L」と、ゲイの「G」、バイセクシャルの「B」、トランスジェンダーの「T」、クィアまたはクエスチョニングの「Q」の頭文字をとった造語です。
日本におけるLGBTQの割合は、現在では約3%〜10%と言われており、割合的には血液型のAB型と大体同じくらいです。
LGBTQのそれぞれのセクシュアティは、以下のような形で表現されます。
-
L レズビアン(Lesbian)
女性同性愛者(性自認が女性で、性的指向も女性の人) -
G ゲイ(Gay)
男性同性愛者(性自認が男性で、性的指向も男性の人) -
B バイセクシャル(Bisexual)
両性愛者(性的指向が男性女性両方の人) -
T トランスジェンダー(Transgender)
出生時に割り当てられた性別(生物学的な性)と性自認が異なる人 -
Q クィア/クエスチョニング
・クィア(Queer)
「変わったひと」が元の意味とする、セクシュアルマイノリティ全般を表した言葉・クエスチョニング(Questioning)
自分の性のあり方をはっきりと決められなかったり、わからないひと、または決めたくない/決めないとしている人
※Qを表す「クィア」は、もともと「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」などを表す英語圏の言葉で、同性愛者への蔑称として使用されることがありました。現代では、既存の性のありかたに囚われないセクシャリティを表現する言葉として、広い意味合いで使用されています。
性のありかたにはグラデーションがあって、100人いれば100通りのあり方があると考えられているよ。「LGBTQ」だけでなく、さらに多様な性を表すために「LGBTQ+(プラス)」という表現もよく目にするね。
+(プラス)に含まれるセクシュアリティ
-
Xジェンダー、ノンバイナリー
性自認が男女どちらでもないなど、男性と女性の二つにとらわれない人 -
アロマンティック
他人に恋愛的に惹かれない人 -
アセクシュアル
他人に性的に惹かれない人 -
パンセクシュアル
性的指向が相手のセクシュアリティにとらわれない人(全性愛)
色んなセクシュアリティがあるんだなぁ。+(プラス)は初めてちゃんと教わったから、勉強になったよ。
中にはLGBTQ+のカテゴリーに分けられること自体が嫌だと感じる人もいるんだ。性のありかたは人それぞれ。だれかに決めつけられるものではないんだよ。
その人自身の気持ちが大切ということね。
LGBTQ+だけじゃない、全ての人のための社会の実現へ
LGBTQ+の当事者を取り巻く状況は、社会や法制度、文化的な理解の変化/深化とともに、日々変化しています。
私たち一人一人が、多様なセクシュアリティやライフスタイルについて知識や認識を深めていくことで、全ての人が安心して自分らしく生きられる社会が少しずつ実現されています。
ニジー、ありがとう!これで子どもたちにLGBTQ+について、詳しく教えることができるよ!まずは先生がしっかり学ばないといけないね。
うん!でもあやみたいに学校の先生だけじゃなくて、大人はみんなもっと学ぶ必要があると思うんだ。ぜひ大人の友達にも教えてあげてね!
この記事を書いた人
原田 樹 TENGA社員
大学では幼児教育を専攻。保育士を経た後、広告代理店に転職。タブー視されている性の話題について深く掘り下げたいと感じ、2022年にTENGAに入社。現在はTENGAヘルスケアのブランド・製品・サービスのPRを担当。
この人の記事一覧記事をシェアする
ねえニジー。最近職場の小学校で子どもたちから、「LGBTQ+ってなに?」って聞かれたの。なんとなく知識はあったつもりだけど、きちんと説明できたかどうか自信がなくて…。教えてくれる?