性的指向とは?恋愛的指向との違いを解説
あなたは、「性的指向」「恋愛的指向」という言葉を聞いたことはありますか
定義がわかりにくいため、意味や違いをきちんと説明できる人は、意外と少ないものです。
この記事では、性的指向と恋愛的指向の基本的な意味から違い、具体例までを解説します。
この記事の監修
松岡 宗嗣 ライター/一般社団法人fair代表理事
政策や法制度を中心とした性的マイノリティに関する情報を発信。ゲイであることをオープンにしながら、Yahoo!ニュースやGQ、HuffPost等で多様なジェンダー・セクシュアリティに関する記事を執筆。教育機関や企業、自治体等での研修・講演実績多数。
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モヤピン
性のモヤモヤから生まれた妖精で、セイ星から地球へ派遣されたが、知識面ではあまり頼りにならない。性知識に富んだ仲間を頼って、人間と一緒に学んでいる。
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あや
しょうたと同い年で(28歳)、小学校の先生をしている。中高女子校で性の知識には疎い。しょうたと同棲している。普段は穏やかだが、機嫌が悪くなると毒舌気味に。
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みらい
あやの高校時代の親友(28歳)。同性のパートナーがいて、あやによく相談している。あやのことが大事なので、しょうたが少し心配。
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ニジー
多様性、LGBRQに詳しい妖精。頭の虹は偏見を分解する装置。
え?モヤピンの好きなお酒はビールとハイボール!
それも「好き」だね。「この人ともっと一緒にいたい」とか、「ドキドキする」とか、「憧れる」とか、たしかに人によって「好き」の感じ方って色々あるかも。
ふーん、お酒ともっと一緒にいたいし、飲んだらドキドキしてくるけど、憧れはないかな。
動悸が気になるなら病院行きなよ。
てか、「好き」って言っても、友達としての好きもあるし、恋愛っぽい気持ちの人もいるし、性的に惹かれる感じの人もいるし…。そもそも、そういう気持ちがあまりない人もいるよね。
その説明って難しいよね。「好き」の話って、似てるようで実は別のことを話してる時あるかも。
何かお困りかなー?「恋愛としての好き」と「性的に惹かれる気持ち」は別だという考え方もあるよ!
なるほど!たしかに、それぞれ別で考えるとわかりやすそう。
へー、「好き」の意味、ちゃんと考えたことなかったよ。ニジー、詳しく教えて~!
性的指向とは?
性的指向とは、「どの性別の人に対して性的な魅力を感じるか」という傾向のことを指します。
ここでいう「性的な魅力」とは、「触れたい」「キスしたい」「体の関係を持ちたい」と感じるような、身体的・性的に惹かれる気持ちを感じることです。
主な性的指向の種類
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異性愛(ヘテロセクシュアル)
異なる性別に魅力を感じる -
同性愛(ホモセクシュアル)
同じ性別に魅力を感じる -
両性愛(バイセクシュアル)
複数の性別に魅力を感じる -
無性愛(アセクシュアル)
性的な魅力をほとんど感じない
これらはあくまで一例です。性的指向のあり方は人によってさまざまであり、必ずしもどれか一つに当てはまるとは限りません。
え〜、結局、性的指向って「好き」って気持ちとどう違うの〜?
恋愛として好きかどうかとは別に、「性的に触れたい(キスやセックスなど)」という気持ちがあるかどうかで考えると分かりやすいよ。
あ、それならちょっとイメージしやすいかも!
恋愛的指向とは?
恋愛的指向とは、「どの性別の人に対して恋愛感情を抱くか」という傾向のことを指します。
ここでいう恋愛感情とは、「好きになる」「付き合いたい」「一緒にいたい」といった気持ちのことです。
性的指向が「性的な魅力」に関わるのに対して、恋愛的指向は「感情的なつながり」に関わる点が大きな違いです。
主な恋愛的指向の種類
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異性に恋愛感情を抱く(ヘテロロマンティック)
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同性に恋愛感情を抱く(ホモロマンティック)
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複数の性別に恋愛感情を抱く(バイロマンティック)
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誰にも恋愛感情を抱かない(アロマンティック)
恋愛的指向も性的指向と同じく多様であり、必ずしも一つの枠に当てはまるとは限りません。
じゃあ、性的な気持ちとは別に、「この人と一緒にいたい」って思うのは恋愛的指向?
キスしたいのが性的で、一緒にいたいのが恋愛ってこと〜?
完全にそう分けられるわけじゃないけど、考え方のヒントにはなるね。恋愛感情と「性的な惹かれ」は重なることもあれば、別々なこともある、ってことを憶えておいてほしいな
性的指向と恋愛的指向の違い
性的指向と恋愛的指向は混同されがちですが、それぞれ意味が異なる別の概念です。
「性的な惹かれ」と「恋愛としての好き」は別のものとして考えられ、実際この2つが一致しないケースもあります。
性的指向と恋愛的指向が不一致の例
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性的には誰にも魅力を感じないが、恋愛感情はある
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性的には同性に惹かれるが、恋愛対象は異性
このように、性的指向と恋愛的指向はそれぞれ独立したものとして理解することが大切です。
また、性的指向/恋愛的指向は「一時の気まぐれ」ではなく、その人の中にもともとある自然な傾向だと考えられています。
恋愛感情はあるけど、性的な気持ちが無い人もいるんだね。
じゃあ逆に、性的感情はあるけど、恋愛感情が無い人もいるってことかな?
そうだね。人によっても惹かれる程度にはグラデーションがあるし、そういう違いもあるって理解しておくのは大事だよ!
性的指向とLGBTQの関係とは?
LGBTQとは、性的マイノリティや性の多様性を表す言葉で、以下の頭文字を取ったものです。
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L(レズビアン)
女性が女性に惹かれる(同性愛) -
G(ゲイ)
男性が男性に惹かれる(同性愛) -
B(バイセクシュアル)
女性と男性両方に惹かれる -
T(トランスジェンダー)
生まれたときの性別と性自認(自分の性をどう認識しているか)が異なる -
Q(クィア/クエスチョニング)
既存の枠に当てはまらない、または模索している状態
この中で、L・G・Bは性的指向や恋愛的指向に関する言葉です。
ここで注意が必要なのは、これらの言葉は基本的に性的指向と恋愛的指向がセット(同一)になっている前提で使われがちな点です。
実際には、例えば性的指向は女性でも恋愛指向は女性とは限らず、逆もまた然りです。
性的指向や恋愛的指向の組み合わせや度合は非常に多様であり、簡単な記号で説明できない点は押さえておきましょう。
私の恋愛対象は女性だけど、仮に性的には誰にも惹かれないとしたら、どこに分類されるんだろう?レズビアンになるのかな?
恋愛的指向としてはレズビアン、性的指向としてはアセクシュアルが近いかもしれないね。
そのうえで、恋愛的指向だけで「レズビアン」や「ゲイ」と名乗るかどうかに、明確なルールがあるわけではないんだ。実際には本人がしっくりくる言葉を選ぶケースが多いよ。
名称の考え方(例)
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恋愛のあり方を重視して「レズビアン/ゲイ」と名乗る人
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「アロマンティック」「アセクシュアル」など別の言葉を使う人
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あえて特定のラベル(枠)を選ばない人
よくある誤解と正しい理解
性的指向や恋愛的指向については、正しく理解されていないことで誤解が生じることも少なくありません。
ここでは、よくある疑問や思い込みを見ていきます。
①「性的指向=恋愛のこと」ではない
性的指向は「性的な魅力を感じる対象」、恋愛的指向は「恋愛感情を抱く対象」を指します。
この2つは似ているようで異なるものであり、必ずしも一致しません。
②「必ずどれかに当てはまるべき」ではない
性的指向や恋愛的指向は人それぞれであり、明確に分類できない場合もあります。
また、時間の経過とともに感じ方や認識が変化することもあります。
③指向は変わることがある?
基本的に自由に選んだり変えたりできるものではないと考えられています。
そのため、他者が一方的に「気の迷いである」などと断じることはできません。
一方で、自分の気持ちの捉え方や理解が変わることで、「以前と違う」と感じることはあります。
変えようとして変わるものではなく、自分の理解が深まり変化に気付くことがある、と捉えるのが自然です。
④自分の指向がわからないのはおかしい?
性的指向や恋愛的指向がはっきりしないことは、決して珍しいことではありません。
無理にどれかに当てはめる必要はなく、「まだ分からない(クエスチョニング)」という状態も一つのあり方です。
⑤「普通・普通じゃない」という考え方はない
性的指向や恋愛的指向に、優劣や正しさはありません。
どのあり方も、その人にとって自然なものとして尊重されるべきものです。
違いについては分かってきたけど、恋愛的指向と性的指向が一致しない人って、どういう感覚なんだろう?
人によってかなり感覚が違いそうだよね。もっと知っておくと、モヤモヤすることが減らせそうかも。
そういえばさっき、こんな記事を見つけたよ!読む?
おとなセイシルライターの原田*さんのコラムだ!どれどれ…
*この記事の筆者でレズビアン当事者
【体験談】「好き」の形が自分でも分からなかった

私は昔、恋愛的指向と性的指向の違いを知らず、ずっと自分の感覚に戸惑っていました。
「恋愛として好きになること」と「性的に惹かれること」は必ずセットだと思い込んでいたため、自分の中で起きている感覚の「ズレ」をうまく整理できずにいたのです。
今振り返ると、私の場合は「性的指向」と「恋愛的指向」の対象やタイミングがバラバラの状態でした。
まず、私の性的指向は基本的に女性に向き、初対面の相手に対して「性的な惹かれ」を感じることもあります。
しかし一方で、恋愛感情は性別に関係なく、「人として深く信頼関係を築いた相手にしか芽生えない」というものでした。(のちにこうした傾向のカテゴリを「デミロマンティック」と呼ぶと知りました)
当時は、「惹かれ合って付き合い、好き同士だから性的な関係を持つのが普通」というイメージを持っていました。
そのため、「性的に惹かれているのに、恋愛感情が全く湧かない」という自分の中の矛盾に強い違和感を覚えていました。
また、恋愛のステップが踏めないことも悩みでした。
「まずは恋愛から始めましょう」という出会いの場では相手の感情のペースに追いつけず、逆に、最初は割り切った体の関係だった相手から恋愛感情を向けられても、私の中に「恋愛としての好き」が生まれることはありませんでした。
そんな中で「性的指向と恋愛的指向は別の概念であり、一致しない人もいる」という事実を知ったとき、長年の謎が解けたような気持ちになりました。
私がずっと抱えていた違和感は、決しておかしいわけではなく、「そういう指向の形」だったのだと気づけたからです。
「恋愛のドキドキ」と「性的な惹かれ」が一致しないことは、決して珍しいことではありません。
「恋愛感情と性的な気持ちはセットであるべき」と自分や他人を無理に決めつけず、いろいろな「好き」の形があるのだということを、多くの人に知ってもらえたらと思っています。
性的指向と恋愛的指向の違いを正しく理解しよう
今回は性的指向と恋愛的指向についてご紹介しました。
性的指向とは「性的な魅力を感じる対象」のこと、恋愛的指向とは「恋愛感情を抱く対象」のことです。
この2つは似ているようで異なる概念であり、必ずしも一致するとは限りません。
性的指向と恋愛的指向を分けて理解することで、自分自身のあり方をより正確に捉えられるだけでなく、他者の多様な価値観を尊重することにもつながります。
どうだった?違いについてちょっとでも伝えられてたら嬉しいな。
自分自身、恋愛的指向と性的指向って曖昧だったから、ちゃんと知れて結構スッキリしたよ~。
改めて「好き」にもいろんな形があるんだね~。
モヤピンはまだ恋愛や性的に好きな妖精や人はいないみたい!でも友達としてみんなのことが好き!
も、モヤピン…(ほっこり)
でも、ビールとハイボールがもーっと好き!
(ズコーッ)
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みらいの恋バナ聞くのたのし~!聞いてて思ったんだけどさ、「好き」って、人によって結構違う気がしない?