後悔した包茎手術の体験談　オナニー世界王者は世界一の遅漏でもあった

佐藤さん、俺、銭湯で自信を持って歩きたくて、包茎手術を受けようか悩んでるんです。

そうですか。自分は20歳で「包茎手術」をしたのですが、それが人生の転機でしたよ。

最高のズルむけペニスを手に入れたのですか⁉

実は悪徳クリニックの手術で性感帯を失いましてね…。「自分が味わった後悔を、未来の若者にはしてほしくない」という想いが、TENGAヘルスケアの設立や、今の自分の活動のきっかけになっています。

なので、自分の体験談が、包茎で悩む男性達の一助になれば本望です。これから詳しく紹介しましょう。

ぜ、ぜひ、お願いします！

調べてみたら、包茎と言ってもいろいろな種類がある（真性包茎、仮性包茎、カントン包茎）みたいですね。佐藤さんはどんな包茎でした？

中学生の頃までは真性包茎でしたが、手術前は自分でむける仮性包茎でしたよ。真性包茎は本当は手術をした方が良いと言われています*¹が、自分でむいちゃいました。

むけたのは良いけど、皮が伸びて余っていて、勃起しても亀頭が1 mmも出なかったんです。

それと、これは体質だと思いますが、自分は恥垢（いわゆるチンカス）が多くて、剥くたびに臭いが漂ってしまい、嫌でしたね。

俺も手でむけるから、仮性包茎だと思いますけど、皮が余っているとチンカス溜まりやすいですよね。自分もそれがすごく嫌っす。

あの頃の自分には、性器のコンプレックスが結構ありまして、真珠様小丘疹（しんじゅようしょうきゅうしん）があったのも、嫌でした。

見た目が気持ち悪くて嫌だったので、爪切りやカッターで切り落とそうともしましたが、上手くいきませんでしたね。

え…？ちんこにカッター当てたの…？佐藤さん…？（優しそうな人なのに、なんか怖い…）

当時の中学生高校生の童貞の心理的に、「先々セックスすることを考えると、この状態は良くないな」と思っちゃいまして！

爪切りやカッターでちんこが傷つかずによかったっすよ、マジで。実際、セックスしてみてどうでした？

初セックスは大学入学の前後だったのですが、そのときは包茎よりも、セックスで射精できなかったことがショックでしたね。不適切なマスターベーションをずっとしてきたので、膣の刺激では快感を得られませんでした。

ただ繰り返しセックスする内に、少しずつ快感を得られるようになってきて、20歳になる直前の頃には、セックスの頻度も凄く増えていました。

ただ、それがきっかけで今度は包皮からの臭いが気になり始めました。洗わずにセックスすることもあったので、「相手に悪いな」という心境ですね。

大学生になってバイト代も入るようになり、この時期から「包茎手術」を考えるようになったと思います。

たしかに、毎回、セックス前にシャワー浴びるわけじゃないですもんね。夏場とかしんどいっすね。

それでいよいよ「包茎手術」に踏み切るわけですね。どんな気持ちだったんですか？

結構軽いノリでしたね。「二十歳の記念で、皮でも切ってみるか」的な。

手術するクリニックってどうやって調べましたか？

インターネットですね。行ってみたら、都内の雑居ビルの、怪しげなクリニックでした。

今思えば「何でそんな所にしてしまったのか」と不思議ですが、多分軽いノリで選んでしまったのだと思います。

雑居ビルの時点で引き返したいっすね…。こわい…。それで、まずはカウンセリング的なことですか？

いやいや、もうその日に手術する気満々で行ってました。予算の15万円を握りしめて。

早い！！勢いすごいっすね。

「これで皮とおさらばできるぞー！」って（笑）

で、手術台に乗せられてペニスも出して、「いよいよ皮を切るぞ」ってときに、執刀医からおかしなことを言われました。

「15万円の方法では手術の跡が残る。跡が残らない綺麗な方法だと＋〇〇万円」

「真珠様小丘疹は性病だから切除が必要。切除するのに＋〇〇万円」

「包茎だから亀頭が育っていない。亀頭を大きくしたいなら、ヒアルロン酸を注射した方が良い。＋〇〇万円」

といった具合で、あれよあれよの内に、総額80万円までなってしまいました。

それ手術台の上で言われたんですか？めっちゃくちゃ怖いし、断る自信ないっすわ…。しかも真珠様小丘疹は性病じゃないですもんね？詐欺クリニックだ！

普通に考えれば一度手術は取りやめ、持ち帰って検討するべき所だったのですが、下半身裸で手術台に乗せられた二十歳の自分に、正常な判断能力はありませんでした。

おまけに、「15万円のコースだとこうなるよ（写真）」と脅され、もう80万円での手術を選ばざるをえない状態でした。

そして、手術が始まりました。ちなみに「包茎手術のリスク」の説明は、当然一切無しでした。

高すぎる…。どうやってお金払ったんですか？

80万円の貯金は無かったので、術後に親に電話しました。

状況を話すと、母「そんな体に生んでしまってごめんね」と、差額は親に払ってもらいました。今思えば、「申し訳ないことをしたな」という気持ちです。

ただ当時は、念願だった「包茎手術」を行って、術後は有頂天でしたね。

「ついに一つ上の男になったぜ！」と友人にメールする始末。

あ、アガってたんですね。俺はなんか複雑な心境っす。

80万円の手術は無事成功したんすか？

術後は勃起するたびに痛かったのですが、痛みは2,3ヵ月で治まりました。

あと縫合が裂けないようにするために、術後1ヵ月間はマスターベーションもセックスも禁止だったのですが、当然我慢できませんでした。

1週間程度でどちらもしてしまって、それで傷が悪化したと思います。

まあこれは自分の責任なのでしょうがないです。

ただ、セックスしてみたら感覚が半端なく鈍くなっていて、これには愕然としました。

鈍くなった原因は明らかで、自分の一番の性感帯だった「包皮小帯（いわゆる裏筋）」を切除してしまったからです。

うううう裏筋が切除された！？セックスの感覚は、どれくらい鈍くなったのですか？

術前に得られていた快感を100だとすると、術後は10くらいですね。そもそも術前でも他人よりだいぶ鈍かったと思うので、もう「何も感じないレベル」まで感覚を失ってしまいました。

そんな…。

ショックでしたね。「取り返しのつかないことをしてしまった」と。

トイレで自分のペニスを見るたびに、「俺のペニスはもう単なる放尿用の管になってしまったんだな…」と、悲しくなったのを憶えています。

またセックスだけでなく、当然マスターベーションでの快感も、ほとんど失ってしまいました。

TENGAで働いているくらいなので、自分は幼少期からマスターベーションが大好きだったのですが、何というか、人生の一番楽しいことを失った気分でした。

すごい喪失感っすね…。考えただけで震えます。

もともと重度の遅漏だったのですが、快感を得づらいペニスになったことで、よりイケなくなりまして。膣内射精なんて夢のまた夢、みたいな体になってしまったんですよ。

当時のパートナーとは離別、恋愛や性に対する自信やポジティブな感情は、全て失ってしまいました。

「包茎手術が人生の転機」とおっしゃっていたのはこのことでしたか…。たしか佐藤さんて、マスターベータソン（耐久時間部門）で2回王者になっていますよね？もしかして関係しているのですか？

そうですね、「世界一の遅漏になった」と言えば笑えるんですが、失ったものを考えると、「包茎手術」をしたことは非常に後悔しています。

ペニスの感覚は徐々に戻ったものの、現在でも快感は術前の半分もありません。この20年の間に子供も生まれましたが、膣内射精ができないので、妊活でもとても苦労しましたね。

快感を取り戻すために、なにかしたんですか？

当然、手術をしたクリニックに文句を言いに行こうとしました。術前のリスク説明が一切無かった訳ですから。

ただ、術後しばらくしてそのクリニックは無くなり、連絡もつきませんでした。もう笑っちゃうくらい、悪徳ですよね（笑）

結局誰にも文句を言うこともできず、親のお金まで使って、泣き寝入りでした。

うう〜。なんて悲しい結末なんだ！包茎手術をして、良かったことは一つもなかったんですか？

チンカスが少なくなったことは良かったですね。

あと真珠様小丘疹を切除して、見た目が綺麗になったこと自体は良かったと思っています。

ヒアルロン酸注射は意味無かったですね。亀頭が大きくなった実感は、まったくありませんでした。

こうして振り返ると、良い点も確かにあったのですが、それでも「快感を失ってしまった後悔」の方が何万倍も大きいですね。

軽い気持ちで「包茎手術」に踏み切ってしまった、当時の選択を本当に悔やんでいます。

20年経った今でも、後悔しない日はありません。

俺、いまの話聞いたら怖くて行けないっす。もし当時の手術前の自分や、現在包茎に悩んでいる人に伝えたいことはありますか？

「本当に十分な情報収集をしたか？」「手術のリスクは把握したか？」と、問いかけてあげたいですね。

自分のように、ろくに調べもせず、軽いノリで「包茎手術」を受けることは、絶対にやめて欲しいと思います。

とにかく、適切な情報を知ることが重要です。

どうやったら適切な情報を知ることができますかね？

包茎手術を検討している人は、包茎手術の専門クリニックではない、一般的な泌尿器科を受診して、中立的な意見をもらってください。

一度手術したら元の状態には戻れませんので、大げさとは思わず、2軒以上の医療機関に相談して、納得できるまで情報収集することをオススメします。

オンライン診療もあるので、悩んでいる方は試しに一度相談してみても良いでしょう。

あと、知っておいて欲しいのは、「包茎手術の多くは商売だ」ということです。

現に、「包茎手術」などでGoogle検索をすると、包茎手術を行っているクリニックの広告が大量に出てきます。つまり包茎手術は儲けの種で、クリニックは手術を受けさせたいわけです。

すべてがそうだとは言いませんが、そのようなクリニックが100%患者の立場で、リスクの提示も含め、適切な治療方法を検討してくれるかは疑わしいでしょう。

インターネットの情報も参考になりますか？

「包茎」含め、性の悩みに答えるWEBサイトがいくつかあるので、それらを参考にするのは良いと思います。

ただし、「包茎」に関するWEBサイトの中には、包茎手術をするクリニックが運営しているサイトもあるので注意が必要です。

これらのサイトは、「包茎は良くないよ」と刷り込んで、「包茎手術」に誘導している場合もあるので、鵜呑みにしてはいけません。

佐藤さんのように、包茎手術で後悔する人を減らすためには、何が大切だと思いますか？

やはり思春期からの適切な性教育でしょうね。

国民生活センターの発表によると、美容医療に関する男性からのトラブル相談は、2012年～2016年の5年間で2,131件あり、そのうち「包茎手術」に関する相談は1,092件と、半分以上を占めています。

年代別では、20代のトラブルが最多で、10代もそこそこの数です。

この中にはきっと、自分のように、十分な知識を持たずに「包茎手術」を受けて後悔している人も、少なくないと思います。

また、不要な手術に踏み切ってしまう理由は、思春期での「包茎は良くない」という刷り込みも大きいと思います。

そもそも、「仮性包茎」という言葉は日本にしか存在しません。海外には「真性包茎」と「普通の状態」の2種類しかなく、「仮性包茎」は「普通の状態」に含まれる、というか、そんな言葉も概念も存在しないのです。

え！「仮性包茎」って日本にしかないんですか？

そうなんですよ。これは、「仮性包茎」という言葉が、当事者のコンプレックスをえぐるために、商業的に作られたものだということを物語っています。

小中高校生への性教育が充実化し、

「包茎、特に仮性包茎は普通であり、恥ずかしがる必要はない」

「真性包茎でトラブルが生じていたり、カントン包茎の場合以外、手術の必要はない」

「包茎手術にはトラブルも多い」

ということをしっかり教えられると、「包茎手術」のトラブルは減ると考えています。

俺も学校で教えてほしかったなあ。佐藤さん、ありがとうございました！！