なぜ勃たない?ED(勃起障害)の仕組みと予防法
皆さんはEDという言葉をご存じでしょうか?
EDとは、Erectile Dysfunctionの略で、日本語だと「勃起障害」となります。「言葉はわかるけど、実はよく知らない」という人も少なくないのではないでしょうか?
性生活を豊かにするうえで、勃起は重要な要素です。今回は、いつか役立つEDの基礎知識を紹介します。
この記事の監修
えー、ちょっと忙しいな。
いつも休みはタバコ吸いながら、ぐうたら引きこもって何もしない、外に出たと思ったらラーメン食べに行くだけのしょうたが、何を言ってるんだ。
しょうた殿は、いつもそんな休日でござるか? そんな生活習慣だと、いつかEDになってしまうでござるぞ。
ヒェ!ED⁉ EDは困るけど、生活習慣とEDがどう関係あるんだ?
あい分かった、では今日は今の内から知っておきたい、EDの基礎知識を伝授してしんぜよう。
ED(勃起障害)とは
ED診療ガイドラインによると、EDとは「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続または再発すること」と定義されています。*¹
勃起は陰茎のスポンジが血液で膨らむ現象
勃起とは、陰茎(ペニス)が硬く大きくなる現象です。
陰茎以外には、陰核(クリトリス)や乳首についても当てはまりますが、ここでは陰茎のみを対象にします。
ペニスには、2本の「陰茎海綿体」と1本の「尿道海綿体」があり、それらを取り囲むように「白膜」と呼ばれる靭帯組織があります。
以下の流れで、陰茎海綿体に血液が充満し「勃起」が起こります。
勃起のメカニズム
-
①性的興奮が高まると、神経の働きで陰茎海綿体内の動脈が拡張
②動脈が拡張すると、血流が増加
③増加した血液によって、海綿体が膨張
④海綿体が膨張すると、海綿体を取り囲む薄膜を圧迫
⑤その圧力で、海綿体周囲の静脈が閉鎖
⑥血液が流出しなくなり、勃起が維持される
ふむふむ。スポンジみたいに、海綿体が血液を含んで膨張するってことね。
左様。そして、この流れのどこかにエラーが生じるとEDになるのでござる。
EDの患者数は国内1400万人!
EDの判定方法の一つに、勃起の硬さを見るEHS(Erection Hardness Score)があります。
EHS(勃起の硬さスコア)
-
グレード 1 陰茎は大きくなるが、硬くはない
-
グレード 2 陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない
-
グレード 3 陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない
-
グレード 4 陰茎は完全に硬く、硬直している
2023年の調査では、20-70代の日本人男性の30.9%(約1401万人)がEHSグレード2以下で、この人々はEDだと考えることができます。*²
ちなみに、1998年の調査では、ED患者数は1130万と示されました。*³
調査手法が異なるので一概には言えませんが、ED患者数は増加傾向かもしれません。
3割がEDだなんて、想像よりずっと多いや。
そうでござろう。皆EDになっても周りに言わないから、EDではない人は全然身近に感じられないんだ。
EDには3種類あり
EDはその原因によって、器質性、心因性、混合性の3つに分類されます。
1. 器質性ED
正常な勃起が起こるためには、性的興奮をトリガーに、神経や血管の働きで、最終的に陰茎内に血液が充満する必要があります。
勃起に関わる神経や血管のどこかに物理的な異常があるとEDが生じます。
このような、物理的障害が原因のEDを「器質性ED」と呼びます。
器質性EDの最多の原因は血管機能の低下です。
血管機能が低下すると、陰茎への血液流入が不十分になり、勃起力が低下します。
加齢で「勃起が弱くなってきた」と感じる場合の多くが器質性EDです。
2. 心因性ED
勃起に必要な「性的興奮」が適切に生じないEDは、心因性EDに分類されます。
心因性EDの原因は、ストレスやプレッシャーなどです。
通常、勃起には精神(自律神経)がリラックスした状態が必要なので、ストレスやプレッシャーを感じている状態では勃起が難しくなります。
妊活中のセックスで「射精しなければいけない」というプレッシャーによるED(排卵日ED)も、心因性EDに含まれます。
3. 混合性ED
混合性EDは、器質性EDと心因性EDの両方の原因によるEDです。
血管機能の低下によってEDとなり、それがトラウマとなって次のセックスでもEDになってしまう、といったパターンも存在します。
EDにも種類があるとは知らなかったよ。
それだけ、そもそもの勃起の仕組みが複雑ということ。原因毎に治療が異なる場合もあるから、自分のEDがどの分類かを把握することは大切でござる。
EDは治療できる
EDにはいくつかの治療法がありますが、治療の第一選択肢は勃起補助薬(以下:勃起薬)の服用です。
日本で認可されている勃起薬の成分には3種類あり、どの成分でも、治療効果が得られる人の割合は約7割です。
勃起薬は血管の拡張作用によって、陰茎への血流増加を促し、勃起をサポートします。
つまり、治療効果が得られるのは器質性EDがメインです。ただ、「勃起薬を飲んでいる」という安心感から、心因性EDの治療効果も期待できます。
ふーん、まずは勃起薬なんだね。
勃起薬以外だと、陰茎への注射や、ポンプで陰茎を吸う方法とかもあるぞ。
でも薬や治療って、毎回やらないといけないから面倒そうだよね。
もっともな意見でござるな。それを回避するには、そもそもEDにならないことが大切だから、次はEDの予防方法を伝授するぞ。
EDを予防する3つの方法
ここまで説明した通り、EDの原因は血管・神経機能の障害や低下と、ストレスやプレッシャーといった心理的な問題です。
逆に言えば、これらをいかに避けられるかが、ED予防のカギです。
1. 生活習慣でEDを予防する
まずは、生活の中でEDのリスクを高める要因を紹介します。
EDのリスクを高める生活習慣
-
喫煙
-
食生活の乱れ
-
過度な飲酒
-
運動不足
-
ストレス
これらの習慣は、肥満や糖尿病、高血圧、動脈硬化へ繋がり、血管機能を低下させて、EDのリスクを高めます。
またストレスは前述の通り、心因性EDの原因となります。
EDの予防のためには、上記を避け、生活習慣を整えることが大切です。
ED予防の生活習慣
-
禁煙
-
バランスの良い食事
-
飲酒は適量にする
-
定期的な運動
-
ストレスを溜めない
-
十分な睡眠
しょうたは酒もタバコも好きだし、運動不足でぐうたらな上に、食生活も乱れてるからねぇ。週に3回も二郎系ラーメンだし。
あ、でもストレスは無さそうで、毎日8時間睡眠なところはプラスか。
ぐぬぬ…。
2. オナニーでEDを予防する
勃起の仕組みで説明した通り、勃起はペニスの海綿体(スポンジ)に血液が充満して生じます。
良い勃起ができるかどうかは、このスポンジがいかに柔軟で大きく膨らむかにかかっています。
スポンジの柔軟性は、日々スポンジを膨らませてストレッチさせることで維持できます。
つまり、オナニーやセックスで日々勃起して、海綿体に血液を入れることが重要なのです!
やった! オナニーは週7回だぜ!
何とか首の皮が繋がったね。
3. 骨盤底筋を鍛えてEDを予防する
最後の予防法は、骨盤底筋の筋力強化です。
骨盤底筋は骨盤下部の筋肉群で、排泄の制御や内臓を支える役割があります。
男性の場合、骨盤底筋の筋力や柔軟性は、陰茎への血液流入に大きく関係しています。
実際、健常者と比較して、ED患者では骨盤底筋の筋力が低いことが報告されています。*⁴
骨盤底筋を鍛えるためには、骨盤底筋トレーニングの実施がおすすめです。簡単なので、是非やってみましょう。
骨盤底筋トレーニングの方法
-
①仰向けで寝る(慣れてくれば座ったり立った姿勢でもできます)
②自然に呼吸しながら、骨盤底筋に力を入れて5秒間収縮させる
③5秒間脱力する
④この5秒間収縮⇔5秒間脱力を10回1setとして、1日3~10setおこなう
骨盤底筋は以下のようなイメージで動かしてみましょう。
しっくりくる方法は人それぞれなので、色々試してみるのがおすすめです。
骨盤底筋の動かし方(イメージ)
-
肛門を締める
-
肛門を体内に引き込む
-
おしっこを途中で止めるように力を入れる
-
陰茎を動かす感覚で力を入れる
勃起は健康のバロメーター EDは予防できる
EDは血管機能の低下やストレスで生じます。
逆に考えると、EDがあるということは、心身に何かしらの不調が生じていると言えます。
つまり、勃起は健康のバロメーターなのです。
日々の中で、少しだけでも勃起を気にかけてあげてください。
勃起って当たり前だと思ってたけど、俺自身を映す鏡だったんだね。これからはもう少し、勃起に良い生活をしてみるよ。
それじゃあ、まずは二郎を月1にする所からだね。
二郎は野菜も沢山取れるからいいんだよ。それ以外の所から頑張るよ!
まずはぐうたら生活をやめる所からだな。モヤピンとTENGA LANDに遊びにいってみるとか、休日もちゃんと活動するでござるよ。
【参考/参照】
*1 日本性機能学会/日本泌尿器科学会, 2018年, ED診療ガイドライン[第3版], リッチヒルメディカル株式会社
*2 Tsujimura, Akira, et al. “Erectile Function and Sexual Activity Are Declining in the Younger Generation: Results from a National Survey in Japan.” The World Journal of Men’s Health 42 (2024).
https://www.wjmh.org/search.php?where=aview&id=10.5534/wjmh.240137&code=2074WJMH&vmode=FULL
*3 白井將文. “勃起障害に関する疫学的事項 概論: 臨床統計 (我が国および諸外国).” 日本臨床 60.6 (2002): 200-206.
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=200902143254566427
*4 Kawanishi, Y., et al. “Spring balance evaluation of the ischiocavernosus muscle.” International journal of impotence research 13.5 (2001): 294-297.
https://www.nature.com/articles/3900730
この記事を書いた人
牛場 栄之 TENGAヘルスケア社員(編集長)
大学・大学院では神経科学を専攻、おとなセイシルでは性科学や性機能学、生理学の分野を主に担当。2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当。
この人の記事一覧記事をシェアする
しょうた、次の土曜日モヤパン先輩と原宿のTENGA LANDに遊びにいくんだけど、一緒に行かない?