EDは動脈硬化のサイン? 勃起軽んじるべからず
男性にとって「勃起」はとても身近な存在です。ただ、歳を重ねて勃起力の衰えを感じる人は多いと思います。
セックスの機会が無い方は、「もういいかな」と思うかもしれませんが、それは少し危険です。なぜなら、勃起の衰えは動脈硬化のサインだからです。
今回は、勃起と健康の関係について解説していきます。
この記事の監修




おう、ペ二丸。筋トレなんて精が出るね~。

お、しょうた殿。やはり健康の基本は勃起でござるからな。

またまた大げさな。確かに勃起が良いに越したことはないけど、
健康の基本は言い過ぎでしょ。

何を言ってるでござるか。大げさではないぞ。
勃起の衰えは動脈硬化のサインというのを知らないようでござるな。

え!動脈硬化⁉勃起がどう関係してるの?

相分かった。トレーニング中だが、しょうたのために少し解説してしんぜよう。
EDと動脈硬化の関係
動脈硬化とは、動脈が硬くなり弾力が失われている状態のことです。
動脈硬化が進行すると、高血圧や血栓の詰まりに繋がり、これは心筋梗塞や脳梗塞など重大疾患のリスクを高めます。

上記は、全身の動脈のサイズを表しています。
ここでポイントは、動脈硬化は全身の動脈で同時進行すること、そして全身の動脈の内、陰茎の動脈が最も細いことです。
つまり動脈硬化の最初の症状は、EDとして現れるということです。
逆に言えば、EDが生じている人は、心臓や脳の欠陥の動脈硬化も進行しており、心筋梗塞や脳卒中のリスクも上昇しているのです。
実際、EDの具合から将来の心筋梗塞のリスクが予想できる、と複数の研究で報告されています[2-4]。
朝勃ちが無くなったら動脈硬化のサインかも

でもさー、年齢を重ねたら勃起力って自然と衰えるものじゃん。
EDが動脈硬化のサインと言われたって、どれくらい衰えたら注意すればいいかわからないよ。勃起の具合だってその時々の興奮具合にもよるしさ。

お、なかなか鋭い質問でござるな。実はそこには答えがあって、ズバリ「朝勃ちの有無」を確認するでござるよ。

朝勃ち?

左様(さよう)。実は睡眠中、男性の陰茎は周期的に勃起と収縮を繰り返しているのでござる。これは脳の興奮とは関係の無い生理現象で、この睡眠中の勃起状態で朝を迎えたものが朝勃ちの正体でござる。

なるほど、朝勃ちは純粋な勃起力を現わしているから、それが無くなったら動脈硬化が進行しているかも、ってことね。

うむ、その通り。十分な睡眠を取ってるのに、連日朝勃ちが全くない/弱い場合は、動脈硬化のサインと思い、生活習慣の改善に取り組んだり、心配な場合は内科などの受診をおすすめするぞ。
勃起は健康のバロメーター

簡単だったが、勃起と動脈硬化の関係について紹介したぞ。

朝勃ちってなんでするのか不思議だったけど、健康のバロメーターになってたんだね。

後悔ちんこ勃たず。この話を見た諸君も、ぜひ自分の勃起に気を配ってもらえれば嬉しいでござるよ。
【参考/出典元】
[1]Montorsi, Piero, Francesco Montorsi, and Claude C. Schulman. “Is erectile dysfunction the “tip of the iceberg” of a systemic vascular disorder?.” (2003): 352-354.
[2]Gazzaruso, Carmine, et al. “Erectile dysfunction as a predictor of cardiovascular events and death in diabetic patients with angiographically proven asymptomatic coronary artery disease: a potential protective role for statins and 5-phosphodiesterase inhibitors.” Journal of the American College of Cardiology 51.21 (2008): 2040-2044.
[3]Vlachopoulos, Charalambos V., et al. “Prediction of cardiovascular events and all-cause mortality with erectile dysfunction: a systematic review and meta-analysis of cohort studies.” Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes 6.1 (2013): 99-109.
[4]Vlachopoulos, Charalambos, et al. “Erectile dysfunction in the cardiovascular patient.” European heart journal 34.27 (2013): 2034-2046.
この記事を書いた人

牛場 栄之 TENGAヘルスケア社員(編集長)
大学・大学院では神経科学を専攻、おとなセイシルでは性科学や性機能学、生理学の分野を主に担当。2016年に株式会社TENGAへ入社、以来TENGAヘルスケア製品の研究開発を担当。
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