セックスによる膀胱炎 いますぐできる7つの予防法
体の構造上、女性は男性よりも膀胱炎になりやすく、経験のある女性も少なくありません。
実は、セックスが膀胱炎の原因になる場合があります。
今回はセックスと女性の膀胱炎の関係について解説します。セックスに潜む膀胱炎のリスクについて、男女共に適切な知識を身につけましょう。
注)「ちつ」の解剖学的に正しい表記は「腟」ですが、この記事では一般的な表記である「膣」を使用します。
この記事の監修



え!
(帰宅中)

最近は体調良いし、ストレスもあまり無いけど、何でいきなり膀胱炎になったのかしら?

(ヌッ)それ、セックスが原因じゃない?

わ!びっくりした。

ゴメンゴメン。
でもセックスで膀胱炎になることがあるから、
もしかしてと思ってね。

え、セックスで膀胱炎ってどーゆーこと?

実は、セックスが原因で膀胱炎になるって知らない人も多いのよ!
OK、じゃあ今日は、特に女性が注意したい、
セックスと膀胱炎について解説してあげる。
膀胱炎とは

膀胱炎とは、文字通り膀胱に生じる炎症です。
それにより膀胱の機能が正常でなくなり、頻尿や排尿痛、残尿感、下腹部の違和感、血尿、尿の濁りなどが生じます。
膀胱炎の原因の多くは、膀胱内での細菌・真菌・ウイルスの繁殖です。
そもそも尿には栄養分が多く、細菌の繁殖に適しています。しかし通常は、免疫機能や排尿によって細菌が排出され、簡単には膀胱炎になりません。
ただ、免疫機能が落ちていたり、細菌を膀胱内に長時間留めたりすると膀胱炎のリスクが上がります。
女性がセックスで膀胱炎になる仕組み

尿道の長さは男性が約20 cm、女性が約4 cmで、女性の方が1/5 ほど短くなっています。つまり女性の方が、尿道口から膀胱へ細菌などが侵入しやすいのです。
セックスで女性器に手や男性器が触れた際、細菌が尿道口から押し込まれ、膀胱炎の原因となるのです。

女性の方が、菌が膀胱に入りやすいから
膀胱炎になりやすいということね。
セックスでの膀胱炎の予防心得7つ
次に、セックスでの膀胱炎の予防法を紹介します。膀胱炎だけでなく、性感染症の予防にもなるので、男女共に押さえておきましょう。
膀胱炎の予防法7つ
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セックス前は手洗いとシャワー
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肛門を触ったら膣に触らない
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セックス後は排尿する
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セックス後もシャワーを浴びる
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セックス後は服を着て寝る
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体調不良時はセックスを控える
-
生理中はセックスを控える
1.セックス前は手洗いとシャワーで清潔に

自分も相手も、セックス前に手洗いとシャワーで、雑菌を洗い流すようにしましょう。
ただ、膣を洗う際は外側だけにしましょう。膣内には元々自浄作用があるので、中まで洗うとそれが崩れてしまうからです。
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2.肛門を触ったら膣に触らない
膀胱炎の原因の多くは大腸菌、つまり肛門由来です。膀胱炎の予防を考えると、セックス中に肛門はあまり触らない方がベターでしょう。
3.セックス後は早めに排尿する
セックス後は早めに排尿し、膀胱に入った細菌を排出しましょう。尿意が無い場合は水分摂取して、排尿できるようにしましょう。
4.セックス後もシャワーを浴びる

セックス後も必ずシャワーを浴びて、性器や尿道口周辺についた細菌を洗い流しましょう。このときも、女性器は外側だけ洗うようにしましょう。
5.セックス後は服を着て寝る

セックス後、そのまま裸で寝てしまう人もいると思いますが、体温低下は免疫低下につながり、膀胱炎のリスクを高めます。
面倒くさがらず、シャワーを浴びて、服を着てから寝るようにしましょう。
6.体調不良時はセックスを控える

体調不良時に無理にセックスをすると、症状が悪化する可能性もあります。
体温低下と同じく、体調不良時は免疫が低下し、膀胱炎のリスクも上がるので注意しましょう。
7.生理中のセックスは控える

そもそも生理中は、経血での雑菌の繁殖や、粘膜が荒れやすくなっているので、膀胱炎のリスクが高い状態です。そのような時のセックスは、膀胱炎のリスクを余計に増加するのでおすすめしません。

う~ん、終わった後シャワーも服着るのも面倒で、
そのまま寝ちゃうときもあるなー。

気持ちはわかるけど、
いざ膀胱炎になったときに後悔しちゃうわね。
更年期以降は特に膀胱炎に注意
更年期以降は女性ホルモンの低下によって、膣や尿道の粘膜が乾燥し、細菌が侵入しやすくなり、膀胱炎のリスクも増加しています。
膣や尿道の乾燥は、膀胱炎以外にも様々なトラブルの要因となるので、普段から保湿するように心がけましょう。保湿には、ボディクリーム・化粧水や膣専用の保湿剤・オイルなどをつかいましょう。
膀胱炎を繰り返す人は性交痛も併発しがち
膀胱炎を繰り返す人は、腟の粘膜が弱い可能性があり、セックスの少しの刺激でも下腹部の違和感や頻尿が生じます。
そのような方は、潤滑ゼリーで挿入の抵抗を軽減できるので、普段から積極的に使っていきましょう。
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膀胱炎になった場合の対処法

膀胱炎になった、もしくは疑わしい場合は、すぐに医療機関(泌尿器科や婦人科、レディースクリニック、内科)を受診しましょう。
治療では、抗生剤が処方されるので、処方された分は最後まで飲みきるようにしましょう。
膀胱炎の種類によっては抗生剤ではなく、女性ホルモンをおぎなう治療や、別の薬を使用する場合もあります。
また、セックスの刺激が症状を悪化させる可能性があるので、治療中はセックスは控えましょう。
ちなみに、膀胱炎を治療せずに放置すると、細菌が膀胱から腎臓まで上昇し、「腎盂腎炎(じんうじんえん)」を引き起こすリスクがあります。腎盂腎炎は発熱、悪寒、嘔吐、背中や腰の痛みを伴い、重症化する場合もあります。
適切なセックスで膀胱炎の予防を
セックスに潜む膀胱炎のリスクと、その予防法を紹介しました。セックスでの膀胱炎は女性の方が高リスクです。女性が自分自身で予防することが大切ですが、パートナーの知識・協力が必要な面もあります。
ぜひ男女ともに適切な知識を持って、安全なセックスを楽しみましょう。

清潔なセックスを心掛けるのが基本ね。
清潔にするのは、膀胱炎だけでなく性感染症予防でも重要よ。

そういえば、しょうたこの前、
帰ってきて手も洗わないままセックスしようとしてきたな。

しょうたらしいわね。
今日の話はぜひしょうたにも教えてあげてね。
この記事を書いた人

福田 眞央 TENGAヘルスケア社員
保健体育科教員として勤めた後に大学院に入り、ジェンダー学・性教育を専攻。2021年からTENGAヘルスケアに携わり、10代向け性教育WEBメディア「セイシル」を担当。
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診察の結果、膀胱炎ですね。