バイセクシュアルとは

バイセクシュアルとは?基礎知識と当事者が語るリアルな気持ち

2026-04-20

 「バイセクシュアル(バイセクシャル)」という言葉を聞いたことはありますか?

 近年、SNSやドラマ、教育現場などで耳にする機会が増え、性の多様性を語るうえで欠かせないキーワードのひとつです。

 この記事では、バイセクシュアルの基礎解説から、似ている用語との違い、誤解されやすいポイント、当事者が抱えやすい悩みなどをご紹介します。

この記事の監修

松岡宗嗣さん_プロフィール画像

松岡 宗嗣 ライター/一般社団法人fair代表理事

政策や法制度を中心とした性的マイノリティに関する情報を発信。ゲイであることをオープンにしながら、Yahoo!ニュースやGQ、HuffPost等で多様なジェンダー・セクシュアリティに関する記事を執筆。教育機関や企業、自治体等での研修・講演実績多数。

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登場人物アコーディオン
  • モヤピン

    モヤピン

    性のモヤモヤから生まれた妖精で、セイ星から地球へ派遣されたが、知識面ではあまり頼りにならない。性知識に富んだ仲間を頼って、人間と一緒に学んでいる。

  • あや

    あや

    しょうたと同い年で(28歳)、小学校の先生をしている。中高女子校で性の知識には疎い。しょうたと同棲している。普段は穏やかだが、機嫌が悪くなると毒舌気味に。

  • みらい

    みらい

    あやの高校時代の親友(28歳)。あやに同性パートナーの話をよくしている。

  • ニジー

    ニジー

    多様性、LGBRQに詳しい妖精。派手な見た目だが真面目。

あや

2丁目のイベントって初めて来た!いろんな人がいて賑やかで楽しい〜!

モヤピン

本当だね〜。音楽もいいし、みんな自由って感じ!(ぐびぐび)

みらい

あ、見て。レインボーフラッグもたくさんあるね。

あや

LGBTQ+のイベントなんだよね。これまでいろんなセクシュアリティを教えてもらってきたけど、まだ全部は知らないかも。

モヤピン

そういえばさ、さっき「バイセクシュアル」って言葉を聞いたんだけど、二人は知ってる?

あや

うーん…、同性も異性も好きになる、ってことだっけ?でもそれだけなのかな?

ニジー


やっほー!みんな楽しんでる〜?

モヤピン

ニジー!いたのか〜!もちろん楽しんでるよ!

あや

ちょうど良かった!今ね、バイセクシュアルって何?って話してたの。

ニジー

OK!そしたら今日はバイセクシュアルについて解説するよ。

    バイセクシュアルとは?

     バイセクシュアルとは、異性や同性、複数の性別に性的な魅力を感じる可能性がある人を指します

     簡単に言うと、「男性も女性も好きになる可能性がある」という意味です。また、バイセクシュアルは、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)のひとつで、LGBTQ+のBにあたります。

     男性と女性に全く同じ程度惹かれるわけでは必ずしもなく、どちらかに惹かれやすい人もいれば、時期によって変わる人もいて、この辺りは人それぞれです。

     また、バイセクシュアルであるかどうかは、経験の有無とは関係ありません

     男性と女性の両方と付き合ったり、セックスした経験がなくても、「男性も女性も好きになる可能性」があるので、バイセクシュアルに当てはまるという人は多くいます。

    あや

    経験してないと該当しない、ってわけじゃないんだ!

    ニジー

    そうだね。「誰に惹かれる可能性があるか」がポイントなんだよ。

    バイセクシュアルの割合

     バイセクシュアルは、珍しいセクシュアリティではありません。

     令和3年の東京都総務局の調査によると、恋愛や性愛の対象について「両性(男性・女性ともに)が好き」と回答した人の割合は3.1%でした。*¹

    あや


    クラスに1人くらいはいる割合だね。

    ニジー

    偏見を避けるために公表していない人もいるので、実際はもう少し多い可能性もあるね。

    みらい


    思ってたより、ずっと身近かも…!

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    セクシュアリティとは

    バイセクシュアルと混同されやすいセクシュアリティ

     バイセクシュアルは、ほかの性的指向(自分の性愛の感情が向く性別)と混同されることがあります。

     特にパンセクシュアルは、バイセクシュアルと間違えられやすい性的指向です。

    あや

    パンセクシュアル?具体的にはどう違うの?

    ニジー


    違いを説明していくよ!

    パンセクシュアルとは?

     パンセクシュアルは、全性愛ともいわれ、相手の性別や性自認のあり方に関わらず好きになる可能性があるセクシュアリティです。

     多くの人は、恋愛や性愛の対象を考えるときに 「男性か女性か」「同性か異性か」を前提にしています。

     一方、パンセクシュアルの人は、恋愛や性愛において、そもそも相手の性別を意識しません

    あや

    「性別を意識しない」っていう点が、バイセクシャルとの違いになるのかな?

    ニジー

    そうだね。パンセクシュアルは「好きになった相手が好き、そこに性別は関係ない」というスタンスだとも言えるかも。

    バイセクシュアルに関するよくある誤解

     バイセクシュアルはその特徴故、様々な誤解を受けることがあります。代表的なものを見てみましょう。

    バイセクシュアルに関するよくある誤解

    • 誤解:男女どちらの性別にも惹かれるのだから、浮気しやすいんでしょ?

      真実:惹かれる可能性があることは、恋愛の誠実さとは関係ありません。浮気しやすさはその人の性的指向ではなく、個人の性格によるものです。

    • 誤解:同性にも興味があるなんて、単なる気まぐれや好奇心では?

      真実:一時的な興味と性的指向は別物です。バイセクシュアルは、惹かれる可能性が「継続的」に存在する性的指向です。

    • 誤解:同性と付き合った経験がないなら、バイセクシュアルとは言えないんじゃない?

      真実:性的指向は経験の有無ではなく、本人の惹かれる可能性によって決まります。また、バイセクシュアルを自認するかどうかは、本人次第です。

    • 誤解:異性と付き合っているなら、もうバイセクシュアルではない?

      真実:誰と交際しているかと性的指向は別の話です。異性との交際中であっても、バイセクシュアルであることとは矛盾しません。

    バイセクシュアル当事者インタビュー

    モヤピン

    バイセクシュアルのこと、ちょっとずつ分かってきた!でも、まだまだ誤解も多いんだなあ。

    みらい

    知識としては分かってきたけど、実際の気持ちも気になるかも…。

    ニジー

    OK!そしたら当事者として経験を話してくれる人がいるから聞いてみようか!

    矢野


    はじめまして!おとなセイシル編集部の矢野です。私の体験で良ければ、ぜひ参考にしてください。

    バイセクシャルを自認したきっかけは?

     「自分がバイセクシュアルかも」と意識したのは中学1年生の夏頃だったと思います。バスケ部に所属していて、女子の先輩を好きになりました。

     女性を好きになるとは思っていなかったので、最初は「変かも!」と戸惑いました。でも、気持ちは止められず…。

     こっそり、一人の友達にドキドキしながら相談したことを今でも覚えています。その友達には肯定も否定もされなかった気がします。

     結局、その先輩に正面から告白することはできませんでしたが、それとなく好意は伝わっていたと思います。今でもいい思い出です。

     その後、高校2年生の時(2016年ごろ)に保健体育の授業で、LGBTのことを学び、「自分ってバイセクシュアルなんだ」と改めて自覚しました

     男性のことも好きになることはあったので、レズビアンではなくバイセクシュアルなんだな、と。

    周囲へのカミングアウトは?

     大学生の頃には本格的にカミングアウトしていましたね。

     大学でジェンダーやセクシュアリティについて学んでいたこともあり、「性教育を同世代にも広めていきたい」と思っていて、自身のカミングアウトもその行動の一環でした

    両親へもカミングアウトした?

     母親には比較的早く話しました。

     幼い頃から宝塚を一緒に観に行っていて、私が女性を「かっこいい!好き!」と思う感覚についても、話しやすかったのだと思います。

     父には大学3〜4年の頃、一緒に飲んでいるときに伝えました。

     当時父は、私が性教育や性について関心があることは知っていましたが、私がバイセクシュアルであることは知らず…。

     父が昔からLGBTQ+に関心や理解があることは知っていましたが、「他人事としては理解できるけど、自分の娘のこととなるとわからない」と言われました。

     ただ良かったのは、理解できないとは言いつつも、否定はされなかったことですね。

     また、家族に伝えられたことで、「隠さずに生きたい」「自分の気持ちに素直に生きていきたい」という気持ちがより強まりました。

    バイセクシュアルが理由で人間関係で悩んだ経験は?

     仲良くなった友達と恋愛話をするときに、どのタイミングでカミングアウトするかは悩ましいです。

     相手の性格や話す内容を見て、否定されないか、距離を置かれないかを考えてしまいます

     やはり、話せないと感じた相手とは、どこか心の距離が生まれてしまうというか、本音で話せないと感じるのか、うまくいかない事も多かったです。

     幸い、昔からの友達には、カミングアウトしても「そうなんだねー」と受け入れてくれる子も多くて、助かりました。

    バイセクシュアルについて、誤解を感じることはある?

     大きく二つあって、一つ目は「誰でも好きになる」という誤解ですね。

     異性愛でも誰でも好きになるわけではないのと同じで、バイセクシュアルでも(もちろんゲイやレズビアンの方にも)好みは様々です。

     私はボーイッシュな雰囲気の方に惹かれがちですが、同じくバイセクシュアル自認の友人は、かわいらしい雰囲気の方しか好きにならないと言っていました。

     二つ目は「一過性のもの」という誤解です

     性的指向は確かに流動性がある場合もありますし、一生絶対にバイセクシュアルなのかと言われると、自分自身でもわかりません。

     とはいえ、他の人からそれを誤解されたり期待されるのはつらいものです。

     親からも「いつかは結婚、孫を…」と当たり前のように言われますが、あまりいい気持ちがしませんでした。

    モヤっとした言葉や決めつけはある?

     「結局は異性と結婚するでしょ」という言葉ですかね。これは、当事者が一番葛藤を抱えやすい部分だと思います。

     日本では同性婚が認められていないことや、異性愛がメジャーではあります。それもあって「最終的には異性と結婚するんでしょ」と言われてしまうこともあります。

     また、それが理由でレズビアンやゲイの方から「ずるい」と言われたり、距離を置かれてしまうことがあるのも正直つらいです。

     私自身、同性で好きな人やパートナーにしたいと思える人が現れれば、その先を想像することもあります。

     ただ、相手が女性を恋愛対象にしていなかったり、好みが合わなかったり、出会い自体が少なかったりと、うまくいかないことも多いです。

     正直これは異性愛でも同じですが、恋愛は本当にタイミングだなと感じます。

     新宿二丁目に行ったり、アプリを使ったこともありますが、出会いや両想いになることは想像以上に難しいと感じました。

     結果、私は女性とお付き合いした経験はありませんが、だからといって何かを決めつけられるのは違うなと思っています。

     「結局は異性愛に逃げる」と言われてしまうのは、やっぱり悲しいですね。

    「バイセクシュアルである自分」について、今はどう感じている?

     今は、女性も男性も好きになる自分が「自分らしさ」だと思えています。特別なことでも、変なことでもなく、自然なことだと感じています。

     むしろ、好きになる可能性が広がっているのは少しお得かも、と思うこともあります。たくさん好きになれる可能性があるのは、幸せなことだなと感じています。

     「好き」という気持ちは本当に貴重なものだと思います。世界中にたくさん人がいても、心が強く動く瞬間って、そんなに多くはないのではないでしょうか。

     だからこそ、その気持ちを無理に制限せず、大切にしてあげてほしいなと思います。

    バイセクシュアルについて、当事者以外の人に知っておいてほしいことは?

     個人的な意見ですが、もし身近な人が「バイセクシュアルなんだ」とカミングアウトしたら、「そうなんだ」と自然に受け止めてもらえると良いと思います。

     話したければ、本人からきっと話してくれるはずなので。

     そして、「誰でも好きになるの?」「性に奔放なんだね」といった決めつけはせず、ひとつの性のあり方なんだと捉えてもらえたら嬉しいです。

     セクシュアリティは本当に多様なので、そのことを頭の片隅に置いてもらえるだけで、安心感は大きく変わります。

     例えば恋愛話では、「彼氏・彼女はいるの?」ではなく、「パートナーはいますか?」と聞いてみるとか。「恋愛の話をしても大丈夫?」と一言添えるとか。みんながみんな恋愛をしているわけでもありませんしね。

     そんな小さな配慮だけでも、心理的安全性の高い関係が築けると感じています。

    悩んでいるバイセクシュアル当事者に伝えたいことは?

     バイセクシュアルは、異性愛が前提とされる社会の中でも、他のセクシュアリティの中でも、そして当事者同士でも、100%理解し合えるとは限らない難しさがあると感じています。だからこそ、言いづらさや孤独を感じることもあると思います。

     でもやっぱり、「好き」という感情はとても素敵なものです。

     「自分は変なんじゃないか」「誰にもわかってもらえない」と悩むことがあっても、自分の気持ちを一番理解できるのは自分です。

     自分だけは、自分のセクシュアリティを否定しないでいてほしいと思います。

    バイセクシュアルへの理解を深めるために

     バイセクシュアルは、同性と異性のどちらにも惹かれる可能性がある性的指向です。人口の中でも一定数存在し、珍しい存在ではありません。

     バイセクシュアルを正しく理解することは、本人が自分の気持ちを整理するうえでも、周囲がその人を尊重するうえでも役に立ちます

     性のあり方は本当に人それぞれで、どのセクシュアリティもその人らしさの一部です。

     まずは正しい情報を知り、誤解や思い込みを少しずつ減らしていくことが大切です。

    ニジー

    矢野さん、今日はたくさん話してくれてありがとうございました!

    あや

    なんか、ちょっと視野が広がった感じがします!

    矢野


    こちらこそ、こんなふうに話せて嬉しかったです。

    モヤピン

    飲みに来ただけだったのに、めちゃくちゃ勉強になったね。「好き」って気持ちを大切にしたいって、素敵なことだね。

    みらい


    モヤピンが珍しく真面目だ…。

    モヤピン

    みんながもっと気軽に性の話できるようになるまで、モヤピンがんばるからね!

    この記事を書いた人

    原田

    原田 樹 ライター

    大学では幼児教育を専攻。保育士を経た後、広告代理店に転職。タブー視されている性の話題について深く掘り下げたいと感じ、2022年~2025年にTENGAに所属。

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