性教育の本を年齢別におすすめ 会話のきっかけにも
スマートフォンやSNSの普及により、子どもたちはますます早く、そして予期せぬ形で「性」に関する情報と出会うようになりました。
こうした時代だからこそ、家庭や教育の場で、性の話は「避けるもの」ではなく「届けるべきもの」に変わりつつあります。
とはいえ「何を、どこまで、どんな言葉で伝えればいいの?」と迷う大人も多いはず。
そのようなときに頼りになるのが「年齢に応じた性教育の本」です。
信頼できる情報を、子どもの発達段階に合わせて伝えてくれる性教育本は、親子の会話のきっかけにもなります。
これから3歳から15歳までの年代別に、おすすめの性教育本を厳選して紹介します。
大切な心とからだのことを、家族で一緒に学ぶ第一歩として、ぜひ参考にしてください。
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モヤピン
性のモヤモヤから生まれた妖精で、セイ星から地球へ派遣されたが、知識面ではあまり頼りにならない。性知識に富んだ仲間を頼って、人間と一緒に学んでいる。
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あや
しょうたと同い年で(28歳)、小学校の先生をしている。中高女子校で性の知識には疎い。しょうたと同棲している。普段は穏やかだが、機嫌が悪くなると毒舌気味に。


セイ星ではペニ丸が書いた『息子の声に耳をすませば』がベストセラーだよ。

地球にある本のおすすめが知りたいんだけど…。

じゃあ、セイ星の図書館に、日本の性教育の本のコーナーがあったから一緒に行ってみよ!ちょうど1日限りの地球人の優待チケット持ってるんだ♪
<セイ星の図書館にて>

すごい!年齢別におすすめの本が紹介されてる!
あ、この絵本、素敵〜!学校だけじゃなくて、ママになった友達にプレゼントするのも良いかも!わ!この本、大人の自分にも参考になりそう〜!気になる〜!

大興奮だね。連れてきてよかったよ。でも図書館は静かしないと怒られちゃうよ〜(経験済み)
幼児(3〜5歳)向け:絵本で学ぶ「性」
この年齢の性教育では、「性」そのものを教えるというよりも、「自分のからだは自分のもの」「嫌なことは嫌と言ってよい」「自分の気持ちを大切にしてよい」などの基本的な人権感覚を育むことが中心になります。
その延長線で防犯の意識を養うことも大切です。
「からだってすごいね」「男の子・女の子の体ってどう違うんだろう?」といった自然な会話の中でも絵本が役立ちます。
①だいじ だいじ どーこだ?(大泉書店)

性教育の出発点は、「自分のからだを知ること」。
この絵本は、幼い子どもが自分の体の部位、特にプライベートゾーンについて理解し、「大切にして良いところなんだ」と実感できるようにやさしく導いてくれます。
産婦人科医が、実際に2歳のお子さんと向き合ったエピソードを交えながら、からだと心の尊さをわかりやすく語ります。
性暴力の予防にもつながる「最初の一冊」としておすすめです。
②あっ!そうなんだ シリーズ全3冊(エイデル研究所)

子どもの疑問に答えたり、絵本を使って、子どもと一緒にいろんな気持ちを見つけることができます。
これらの本は、絵本編と解説編の2部構成になっていて、解説編ではおとな向けに、絵本編のテーマで補足してほしいことや子どもへの話し方、伝え方のポイント、配慮してほしいことなどが書かれています。
③とにかくさけんでにげるんだ(岩崎書店)

子どもが「何か変だな」と感じる力を育てることは、自分を守る第一歩です。
この絵本は、怖がらせるような表現を避けながら、子どもが不自然な言動や嘘に気づく力をやさしく養ってくれます。
まだ経験の少ない子どもでも理解しやすいよう、想像力を補う場面が丁寧に描かれており、いざというときの判断の助けになるでしょう。
巻末には、大人が知っておきたいポイントをまとめた「保護者向けの解説」も掲載。
子どもを守る知識と、家族で話し合うきっかけをくれる1冊です。
小学生(6〜12歳)向け:自分を守る力を育む
この時期は、自分でからだの成長を感じるタイミング。
生理や精通などの身体的な変化、自分の感情や性の芽生えに関する疑問が少しずつ出てくる年齢でもあります。
また、SNS・動画サイトなどから“断片的でセンセーショナルな性情報”に触れる機会が増えてくるため、「正しい知識を自分で得て、自分を守る」ための力が必要になります。
①こどもせいきょういくはじめます(KADOKAWA)

小学校低学年から無理なく読めるように作られた、性教育の入門書です。
都内の小学校の実際のカリキュラムをもとに、小学生の「知りたい!」に寄り添う形で構成されており、やさしいイラストとまんがで楽しく学ぶことができます。
②12歳までに知っておきたい男の子のためのお家でできる性教育(日本文芸社)

これから思春期を迎える男の子や、その入り口にいる子どもたちに向けて、「気になるけど聞きにくいこと」をやさしく解説した1冊です。
体の変化や性のこと、心のモヤモヤなど、大人にとっても伝えづらい話題を、まんが・イラスト図解・ふりがな付きの文章でわかりやすく紹介しています。
子ども一人でも読み進められる構成で、家族で話し合うきっかけにもなります。
③げっけいのはなし いのちのはなし(みらいパブリッシング)

月経という体の変化を、性別に関わらず親子で自然に学べるやさしい導入書です。
優しい雰囲気のイラストとわかりやすい言葉で、生理のしくみはもちろん、命のはじまりや体のちがい、多様な生き方についてもお話が広がっていきます。
家族のあいだで「からだのことを話す」きっかけにぴったりな1冊です。
中学生(13〜15歳)向け:自分と他者との関係に気づく
中学生になると、自分の性についての知識だけでなく、「誰かを好きになる気持ち」や「関係性の築き方」、「性的同意」、「ジェンダー」など、他者との関係の中で、よりリアルで複雑なテーマが身近になります。
SNSを通じてさまざまな価値観に触れる中で、「何を信じて、どう考えるか」が問われる時期でもあります。
ここでは、マンガやストーリー形式を通して、性と生、心の成長を考えられる本を紹介します。
①マンガでわかるオトコの子の「性」(合同出版)

心も体も大きく変わる思春期には、誰にも聞けないモヤモヤがつきもの。
この本では、13のテーマをもとに、性やからだの疑問をまんがとQ&A形式で丁寧に解説しています。
性に対する理解を深め、自分と他者の心と体を尊重する力を育てることができる、男の子にぴったりな本です。
②はたらく細胞LADY10代女性が知っておきたい「性」の新知識 (KCデラックス)

女性のからだの中では、今日もたくさんの細胞たちが命がけで働いています。
月経、妊娠、出産、ホルモンの波、婦人科系の病気まで、日々変化し続ける女性の体内を舞台に、免疫細胞やホルモンたちが擬人化されて大活躍!
大人気シリーズ『はたらく細胞』のスピンオフとして、女性の体にフォーカスした本作は、医学的知識とエンタメが見事に融合した1冊です。
③セイシル(KADOKAWA)

学校ではあまり教わらないけれど、本当はちゃんと知っておきたい「性」のこと。
この本は、性教育WEBメディア「セイシル」に実際に届いた10代が抱える疑問や悩みに、会話形式でわかりやすく答えています。
医師や心理士、教育関係者など、50名以上の専門家が監修し、信頼できる情報が満載。
性の知識だけでなく、人間関係、同意、体や心のことまで幅広くカバーされています。
子どもに性に関する質問をされた時、返答のヒントとしてもおすすめです。
読書で性教育!読むことで家族を守ろう
今回は年齢別に本を紹介しましたが、性教育に「早すぎる」ということはありません。
大切なのは、年齢にとらわれず、その子の「知りたい」という気持ちに寄り添い、発達に合ったかたちで応えることです。
性教育は、「知識のお守り」として子どもを性のトラブルから守ってくれる大切な力になります。
たとえ高校生や大人になってから性教育に触れたとしても、遅すぎるということもありません。気づいた「今」から始めることが大切です。
また、絵本のようなやさしい表現の中にこそ、心に深く響く本質が詰まっていることもあります。
性教育は子どものためだけでなく、大人にとっても学び直しの機会になるのです。
子どもの成長に寄り添いながら、親子で「知ること」「話すこと」を自然に楽しむ。そんな性教育の時間が、家庭の中に少しずつ広がっていくことを願っています。
本だけでなく、10代向け性教育サイト「セイシル」、性教育従事者向けサイト「withセイシル」もぜひ参考にしてください。

良い本をいっぱい知ることができたよ〜。モヤピンの図書カードで10冊くらい借りちゃった。ありがとう!

電子書籍にしたら良かったんじゃないの。重そうだよ。

やっぱり、子ども達と一緒に読むことを考えて、実際にページを一枚一枚めくりながら読書を楽しみたいの!じゃあ、またね。

ふーん、またね〜。って、待って。あやもう地球から来れないよね…誰がその重たい本を返すのー⁉ちょっと、あやー!待って〜!
この記事を書いた人

福田 眞央 TENGAヘルスケア社員
保健体育科教員として勤めた後に大学院に入り、ジェンダー学・性教育を専攻。2021年からTENGAヘルスケアに携わり、10代向け性教育WEBメディア「セイシル」を担当。
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モヤピーン、今年、学校で図書の部署に配属されたんだけど、おすすめの性教育本知らない?