オナニーやセックスのしすぎで死ぬことはある?
今回のお悩み
テクノブレイクって本当にあるのでしょうか。
学生時代に聞いた噂をずっと信じていて、いつかオナニーやセックスで死ぬんじゃないかと考えてしまいます。
(20代 男性)
専門家からの回答

今井 伸 医師
SRHケアクリニック静岡 院長 生殖医療(男性不妊・がん生殖)、性機能障害、男性更年期障害(LOH症候群)を専門とする。 泌尿器科医 性機能専門医 生殖医学会生殖医療専門医 性科学会認定セックス・セラピスト専門医
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テクノブレイクはありません
ズバリ言いましょう!テクノブレイクはありません。
テクノブレイクはネット上で生まれた造語で、ネットで検索すると
「長時間のオナニーによって、性ホルモンの過剰分泌を引き起こす症状。時に死を招く…」というような解説が出てきます。
まず、長時間のオナニーによって性ホルモンの過剰分泌を引き起こすという科学的根拠はありません。
さらに、「1日35回のオナニーを1週間続けて死んだ若者」の話や、「性行為中に亡くなった検死例の8%がオナニー中の死亡だった」といった話が、テクノブレイクの根拠として出てきます。
では、1日35回の射精を伴うオナニーが可能であると思いますか?
挑戦してみてください。現実的に35回の射精は不可能で、10回ですら難しいでしょう。
僕は「1日に何回射精ができるか」という疑問を持ち、過去に2回、記録に挑戦したことがあります。
2回の挑戦の記録は、どちらも24時間内に7回という結果でした。
体力的にはそんなに大変ではなく、部活の練習の方がよっぽどきついと思いました。
それなら「もっとできるのでは?」と思われるかもしれませんが、後半の2回は、性的興奮度も低く、精液もごく少量しか出ませんでした。
つまり、「おなかいっぱいでもういらないのに無理やり食べた」ような感じでした。
おなかがはちきれて死ぬまで食べ続けることができないのと同じように、倒れるまでオナニーをし続けることはできない…というよりしたいとは思わないでしょう。
心臓に問題がある場合はリスクはある
次に「性行為中に亡くなる方」についてですが、これはほぼ高齢者(若者ではない)で心臓に問題のある方ということになります。
すなわち、「軽い運動するだけでも心筋梗塞や不整脈を起こしてしまう人」と言い換えることができます。
軽い運動とは「階段で3階まで上がる」程度と考えてもらえればよく、毎日学校や家で何度も階段を昇降しているみなさんは、オナニーくらいで心臓に問題が起こることはありません。
また、よく「一回のオナニー(射精)は100メートルを全力疾走するのと同じほど心臓に負担をかける」と言われます(ホントは100メートル走る方がよっぽど大変)が、仮にそうだとしても、20代の男性なら1日に数回全力疾走することはできますよね。
1日数回のオナニーによる運動負荷くらいでは、心臓に問題を起こすことはないと言えるでしょう。
と、以上の理由により「テクノブレイクはない」と断言させていただきます。